【d!】無感情ナース2 (ページ1)

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ある日。幹部全員が、総統室に呼び出された。

早朝5時の出来事である。欠伸と共に総統室に到着したチーノ。これで全員が揃い、グルッペンが立ち上がった。

「突然で悪いが……今日、客人が来ることになった」

「……グルッペンが呼ぶっちゅうことは、それなりに大事な客か」

コネシマの呟きに、グルッペンが頷く。

「お前ら、ルヴァンシュ王国って知ってるか？」

グルッペンの問いかけに、エーミールのみ頷いた。それを理解したエーミールは、皆に説明をする。

「ルヴァンシュ王国というのは、軍事力、経済力、科学力、情報収集能力、全てにおいて世界トップクラスの実力を持つ国です。軍事力だけでいえば、我々国の……1.5倍ってとこですかね。公用語は、エイゴだった気がします」

「微妙やな……。んで、そのルヴァンシュ王国に関する客人か」

「ああ」

グルッペンは、若干困ったような顔で、皆の顔を見回した。

「今日、ルヴァンシュ王国の王子が居らっしゃるんだが……機嫌を損ねる訳にはいかん。全員整った格好で、王子を迎えろ。じゃあ、各隊に伝えてくれ。以上だ」

整った格好というのに対して、ゾムやコネシマは顔を歪めた。戦場でも、パーカーにTシャツというラフな格好をしている彼らにとっては、嫌で仕方がいならしい。

「A。お前はドレスだぞ」

「……はい？」

退出間際に言われ、Aは思わず振り返って固まった。周りは、面白そうにニヤニヤと笑っている。

「俺が準備したイブニングドレスがあるんだが、着てくれないか？」

嫌な予感がするが、グルッペンの頼みを断ることもできず、Aは渋々頷いた。ニッと歯を見せて笑ったグルッペンは、片手を上げて、オスマンとトントンを見た。

「……そういうことなら」

「すまんな、A」

即座に動いた2人に、両腕を掴まれて、Aはどこかへ連行されて行った。可哀想やな……と引き目に見る良心のある幹部も入れば、何されんのやろ、と心の無いことを思う幹部もいた。

Aは、会議室に連れて来られていた。ニコニコと笑うオスマンの隣には、グルッペンチョイスの、大人っぽい、黒のイブニングドレス。

トントンは、ポンポンとAの肩を叩いて、同情する。

「これ、結構な値段したらしいで。着てやらんと、可愛そうやと思わへん？」

「……ちなみにおいくらでしょうか」

真顔のAの耳に、ソっと口を寄せたオスマン。ヒソッと言われた値段を聞いて、Aは思わず叫びかけた。