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再び牢屋へ戻ってきたAは、もう足の拘束はされなかった。
「逃げる意思がないことは分かった。情報を知らんことも分かった。もうあんなギチギチに縛る必要は無いんやし、大人しくここで待っとけ」
コネシマは、Aを部屋に入れると、鍵をかけて出て行った。
「やっぱ、許せないよね」
Aは知っている。皆が、どんなに優しく接してくれていても、その瞳の裏には自分への怨みが、怒りが、渦巻いていることを。
M国は、残酷な毒ガスを使ってジワジワと我々国の兵士たちの命を奪っていった。その様子はきっと、彼らに未だかつて無い程の怒りを与えただろう。
仲間が、泣きながら、苦しみながら助けを求めているのだから。
M国の毒ガスは、1時間ほど人体を蝕む。そして、Aはそのガスの研究に加担している。医療従事者の意見なども参考にして作られた毒ガスは想像以上の効果を発揮した。
「きっと皆知っている。私が毒ガス作りに加担していたこと」
優しく笑っていた鬱先生の目も、どこか強い怨みがあった。自分の感情には鈍感だが、他者からのそういうのには人一倍敏感だ。
しばらくすると、トントンとグルッペン、オスマンが部屋にやって来た。
「A。君を解放しよう」
「本当ですか」
「ああ。だが、行く宛など無いだろう」
「探します」
「ここで働かないか？」
グルッペンの提案に、Aは酷く顔を顰めた。
「嫌そうやな」
オスマンがクスッと笑う。
「嫌です。短い間お世話になりました」
自分へ負の感情が向けられている職場で働く奴は居ないだろう。Aは、グルッペンに手錠を外してもらって、部屋を出ようとしたのだが、グルッペンに手を掴まれた。
「こちらも、軍医が足りてないんだ。大先生も使えへんし。アイツのことサポートしてやって欲しいねん」
「そうですか。ところでオスマン殿。…何を？」
Aの親指に、朱肉を押し当てるオスマン。ある程度朱肉がつくと、グルッペンがAの親指を持っていた紙に押し付けた。
気づいた時にはもう遅かった。
「契約、成立だな」
邪悪な笑い声をあげるグルッペン。Aは絶望した顔でトントンを見る。
トントンは、不満そうな顔でグルッペンに言う。
「コイツ、信用出来んの？」
「さあな。だが、こういうスリル的要素もたまには味わいたいだろう？」
「……どうなっても、俺は知らんで」
部屋を出たトントンとオスマン。グルッペンはAに部屋の場所を教えて、拷問室を出ていった。
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はちみつ(プロフ) - 1章お疲れ様でした！2章も頑張ってください！ (2021年8月11日 17時) (
レス) id: 3af09653e7 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - ひよこの子さん！まずは1章お疲れ様でした(; ;)やっぱり前作といい今作といい伏線かな...？と思われる描写がいくつかあり2章、3章がめっちゃ楽しみになりました！毎日ほんとに大量更新ありがとうございます...毎日の楽しみです...！体調に気をつけて頑張ってください！ (2021年8月11日 1時) (レス) id: d2abe96452 (このIDを非表示/違反報告)
狗 - ひよこの子さん、こんにちは。普段は作品にコメントとかしないのですが、面白すぎてしてしまいました。ひよこの子さんの作品は、伏線の回収などが丁寧で、見ていてとても楽しいです。お体に気をつけて更新頑張ってください。応援してます！長文すみません！ (2021年8月9日 20時) (レス) id: 3a2d3af60d (このIDを非表示/違反報告)
黄山まる(プロフ) - めぇぇぇぇっちゃゃゃゃ面白いです！！！！！！好きです！作ってくださりありがとうございます！！！ (2021年8月9日 16時) (レス) id: ecd777805d (このIDを非表示/違反報告)
黒月 - どこがで見たことのある作者様や〜と思ったらほとんどの作品読ませていただいてました今の今まで気づかず申し訳ありません()どの作品も大好きですスッゴく面白いです作ってくれてありがとうございます!!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: d980d1e7aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年8月4日 19時
