病室の中で ページ25
時は少し巻き戻り
高村が安吾と話している間、社員は次々とAに謝罪の言葉を述べていた。国木田に至っては直角にお辞儀をするので、Aは困惑した様子でお辞儀を辞めるよう訴えた。
「しかし、……」
「イグニスが話してくれたかと思いますが…私は怒ってません。皆さんは操られていただけで…とりあえず…ナオミさん、鏡花さん、落ち着きましょう」
「分かりましたわ…」
「うん…」
泣きじゃくっている2人の目の前にハンカチをソッと差し出すA。すると鏡花がパシッとAの手首を掴んでジッと観察する。
「細い…痩せてる。何kgぐらい体重落ちた?」
「えっと…9kg近く、」
「病院食は?」
「食べるのがめんどくさいので…」
するといつの間にかスパティウムが人の姿で現れて関西訛りの口調で入院中のAの様子について話していく。
「そうですねぇ、病院食はあまり食べとらんし、薬は飲んでも効かんみたいで…。一日の殆どをヘッドホンしてボケッとされてますわ
でも、昨夜よりは顔色ええみたいです。
皆さんの記憶が戻って安心したようで」
しかし次の瞬間、スパティウムは糸目を開眼させて影の落ちた笑みを浮かべる。
「私ら異能生命体としては…アンタらの記憶が戻っても、戻らんくても良かったんや。そこんとこ覚えとき。」
するとAがスパティウムに向かって指を弾く。強制的に元の姿に戻したのだ。元の姿に戻されたスパティウムは「ピー!!?ピーー!!」と文句を言うように可愛らしい声を上げる。
「口の利き方には気をつけなさい」
掌の上に乗せてスパティウムを撫でるA。すると病室に遅れてやってきた太宰が入ってきた。隣には人間に化けた夢幻もいる。
「ごめんねAちゃん。それと……随分と痩せてしまったね。記憶のない私は君に酷い態度を…」
「気にしないでください太宰さん。」
「A〜!これで一件落着ね!」
夢幻がAに抱きつこうとした次の瞬間だった、カッと目を見開いて夢幻を睨みつけるA。その表情は正しく反抗期真っ只中の子供のような顔。
オロオロしながら「どうしたの?」と聞いてくる夢幻。Aは盛大にため息を着くと、珍しく感情を顕にした声で夢幻に云う。
「夢幻さんは“母さん”ですよね。全く…何故こんな回りくどいことを?夢枕に立って『置いてってごめんね』って云えば私も少しは感情面で楽になれたのに」
「ええええ!?気づいていたの?」
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黒灰白有無%(プロフ) - 完結おめでとう御座います!此処迄夢中で一気読させて頂きました,今章のタイトル回収や夢主の成長 無事皆が元に戻った嬉しさが溢れ感極まりました!ちゃんとフラグ?回収もしていて内容,迚も面白かったです!再び読み返しにきます是からも応援しております!失礼致しました (8月17日 16時) (レス) @page33 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影 | 作成日時:2023年2月22日 18時