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「ね？やばくない？かわいいでしょ？」
「…はいはい(笑)」
予想通り、前半は彼の惚気で終了。
相槌を打つけど、適当に言ってるでしょー！と
不満そうに唇を尖らせる。
そして、ハッとして私に話を振ってきた。
「そうだ、Aちゃんの話聞くんだった」
「いや、ほんと大したことないよ」
「なにそれー、次に会う日すら決めてないの？」
「うーん…
決まってるような、決まってないような？」
「どういうこと…」
「夏祭り、一緒に行こうって」
「あ、なるほど。なら早いうちが良くない？」
「え」
携帯をポケットから取り出すと
黒田くんは画面を私に見せた。
結構有名なその花火大会は確かに一回近くで
見てみたいな、と思ってたもので。
若干乗り気になってすぐ下に書いてある日付を見る。
「こ、今週…」
「うん、今週」
「いや、無理だよ、もう日もないし」
「いいじゃん！一緒に行こうって言えば！！」
「黒田くんみたいに行動に移せない人もいるの！！」
「えー…」
俺ならすぐ言うのになぁ、と彼は目を伏せる。
自分の行動力に私も情けなさはあった。
でも、連絡先交換した後なにもやり取りを
していないそれに、花火大会への誘いを
送るのはハードルが高い。
それに、たぶん光成くんも、黒田くんみたいに
積極的なほうじゃない気がしたし。
「…っ！！」
「え、どうしたの？」
「連絡、来た」
「よかったじゃん！！」
突然震えた携帯に、光成くんの名前が映る。
“この前言ってた花火大会、
今週末にあるんだけど行かない？
予定あるなら全然断ってくれていいんだけど…”
“急でごめん。どう打てばいいか悩みすぎた(笑)”
ぴょんぴょん跳んでテンションの上がる黒田くんを
横目にぎゅっと携帯を握った。
早く返信！！と急かす黒田くんに乗せられて
震える手で文字を打ち込む。
「できた？」
「うん」
「いーなー、俺も近いうちに祭り誘おっと」
親にセッティングされていないという意味では
初めてのデートの日。
数回のやりとりなのに
嬉しくてずっとその履歴を眺めていた。
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作者名：むう
| 作成日時：2021年2月23日 21時
