I Present Me To You.... ［2］ ページ7
その僕の言葉。彼は何秒か固まった。
そして意味に気付いたようで、その顔はすぐさま真っ赤になった。
彼は叫ぶ。
「わぁぁぁっ！！！だめだめだめ！！」
がさがさがさっと、例の茶色い虫のように高速で僕から離れていく武。
それから、離れに離れた末にゴンっと襖に頭をぶつけた。鈍い音が部屋に響く。
「いってぇーーーっ」
「ねぇ、大丈夫？」
僕は頭を押さえながら踞る彼の頭をそっと撫でた。
びくっと、震える黒髪。彼は恐る恐るといった動作で僕を見上げた。
その上目遣いと仕草が可愛くて、僕はつい手を止めた。すると、その手の下から黒髪が逃げる。
「あ、ちょっと」
僕は彼の襟首を掴んで、僕の方へと引っ張った。
ころん。彼の体が簡単に転がる。そうして、僕の胸へ背を預けた。
それをいいことに、僕は彼の体を後ろから抱き締めた。
「はなっ、離してください！」
「逃げない？」
「逃げないから！」
僕はしぶしぶ体を離した。
「か、からかわないでください」
「からかう？ 違うよ。キミが僕のプレゼントだからさ」
彼がきゅって唇を結ぶ。不服だと、目で訴えかけてくる。
「ふふ。かわいーね」
僕はそっと瞼にキスをした。
かわいそうに、彼は体を硬直させてしまっている。
「さて、僕のプレゼント？ 僕の言うこと聞いてくれる？」
「ひ……ひとつだけ、なら」
彼がそろっと顔を上げた。真っ赤な顔だ。
「じゃぁ、目を閉じて」
僕の言葉に、彼が息を飲んだ。
すり……と、彼の頬を指先で撫でる。やわらかな感触が指に吸い付く。熱も伝わってきた。
「……はい」
彼が目を閉じる。躊躇を孕んだ、しかし覚悟を決めるような、そんな動作で。
僕は頬に触れていた指を彼から離した。
そして、
彼のほっぺたに指を、ブスッッと刺した。
「痛！」
彼が慌てて目を開けた。その目には、いつもの無表情をひっさげた僕がいる。
「え、な……なん、」
「一回刺してみたかったんだよね」
「え、え？」
きょどきょどと混乱している彼。
そんな彼に、私は言った。
「もしかして、キスされると期待した？」
「！！」
彼は真っ赤な顔をして立ち上がった。
「し、してな……してな、ううぅ……っした！！」
彼はそれだけ言うとばたばたと走っていった。
その姿を見て、僕は無表情をくずして笑わずにはいられなかった。
-end-
一年越しの更新となりました。すみません。見捨てないで見てくれた方、ありがとうございます。
キミのことばかり見てた→←I Present Me To You.... ［1］
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紅うさぎ(プロフ) - 果口 陽暉さん» 三年越しにすみません！ 見落としてました…。。今さらの回答となってしまって申し訳ありません！ 更新がんばります！ (2020年5月4日 1時) (
レス) id: 8620c16f31 (このIDを非表示/違反報告)
果口 陽暉(プロフ) - もう、更新されないのでしょうか？気長に待ってます (2017年11月26日 17時) (レス) id: 17a8e4b861 (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - るらりさん» すみません！更新します！！！ (2016年6月8日 5時) (レス) id: 3b29655bc4 (このIDを非表示/違反報告)
るらり - 面白いです！頑張ってください！ (2016年6月6日 23時) (レス) id: 8d6d4eade5 (このIDを非表示/違反報告)
紅うさぎ(プロフ) - 魔太郎@バンガセloveさん» ありがとうございます。また更新しますね(笑) (2015年11月30日 1時) (携帯から) (レス) id: 6f89c7bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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