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Aも普段は軍と言う男社会を泳いでいるため、男と言うの自体には慣れている。
唯、それは常に上司と部下、同僚と言った関係であり、それ以上の関係は先ず無い。
況して軍の中で生きる訳だから、恋愛事も迂遠だ。
こうもあからさま過ぎる状況になると、如何すれば良いのか判らぬらしい。
「【さぁ、如何かなんて解らねェじゃん】」
ひとらんらんは口角を上げ、くつくつと笑った。
Aはむ、と唇を歪める。
子供っぽい仕草をひとらんらんが見る事は能わないが、何とない空気で解る。
「【揶揄わないでくれる？】」
「【いつものお返し】」
普段揶揄うのは、Aの方である。
ぐうの音も出ないが不満げなAは、余程幼い。
そう言うAを見ながら、ひとらんらんは又くつくつ笑った。
先程までの不安など、最初からなかったかのように。
男を知らぬ癖に、喜ばせる方法は知って居るらしい。
つくづく、狡い女だ。
「【そう言う事は、本当に好きな人に言うモノなんだって】」
むぅ、と拗ねた様なAが、計算された程に可愛らしい。
ならば之は、慈しむ様な愛しさは、親大人が子供に向ける感情と、計算されないか。
……解って居る。
もう見て見ぬふりの出来る様な、おはじきのような小さなものでも無い。
いつの間にか、ひとらんらんの感動の中心には、Aが居る。
行動原理に、彼の守るべきものの指折りの中に、含まれてしまって居る。
きっかけ何て、何処にも無かった。
敢えて言うなら、Aの身体についた憎たらしい時間制限が、きっかけだった。
(嗚呼、そうだよ)
投げやりに、思う。
認めたくなかった。
知らなかったし、知らない振りをしたかった。
でも此処まで来たら、もう如何し様も無い。
もう黙殺されるような大きさでないそれに、名前を付けて遣る時は、もう随分前に来ていた。
困らせたくない。
きっとAは、自分に同じ気持ちを返す事はない。
それはひとらんらんにしても同様だが、Aほど時間をくっきりと提示された訳では無い。
近い幕引きを知っている。
それなのに、之を始めてしまって、伝えてしまって何になる。
信頼のおける男と言うので良い。
Aが人生の幕引きを穏やかに迎えられるよう、最期まで一等近い場所で。
……傍で。
そう思う反面、ひとらんらんが先を求めて居るのも事実だった。
＊＊
？？？？(困惑)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年1月29日 1時
