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「はー、お前本当巧いよなあ、飛行機乗るの」
「別に、……」
青年は、ヘルメットの位置を直しながら、不愛想な声で返した。
決して彼は、話しかけた男が気に入らぬ訳では無い。誰にだってそうだ。
「先輩らも、お前の腕は凄ェって褒めてたぜ」
「別に、苦な事やないからな」
青年の態度を意に介さぬ口調で話し続ける男に、青年はやや視線を空の方にずらしながら、言った。
青年は別に、『飛ぶ』事に『努力』と言う意味合いで注力した事は無い。
才能だとか、恐らくそう言う事も無い訳では無いのだろうが、それ以前に、青年は単純に、『飛ぶ』事が好きだった。
だから、飛んでいた。その道に憧れたので、空軍に居る。
気付いた時には、青年の横隣には、誰もいない。
先輩だろうと、同僚だろうと、彼より巧く飛べる人間に、青年は会った事がなかった。
「あっ、パークス隊長！」
(※パークス……遊撃隊隊長。クライシス(鬼教官)の御気に入り)
男が気が付いて、さっと敬礼する。青年はそれを見てから初めてパークスの存在に気付き、直ぐに敬礼をした。
パークスは軽く敬礼を返してから、其方の方に歩み寄る。
「パークス隊長、お疲れ様でした」
「いいえ、其方こそ」
パークスは微笑した。人の好さげな笑顔、と言うよりは、単純に慇懃な口調や態度から来るものが、笑顔もそう見せるのだろう。
青年はその微笑を無感動な顔で眺め、
(……クライシス教官の御気に入り、って人か)
(※クライシス……片腕が義手の鬼教官)
と、唯そう思って居た。『お気に入り』の話は、空軍の中では有名な話である。
確かに、青年の眼に見ても、パークスの腕前は、『遊撃隊隊長』の一人であると言うのが頷けるほどの物であった。
青年に言わせれば、恐らくはパークスが、最も空軍の中ではいい腕をしている。青年とは互角程だろう。
青年の無表情の方に、パークスはその微笑を向けた。
「貴方方の飛ぶのも、見ていました。クラウディア元帥がいらっしゃらなかったのが残念です」
そう言うパークスに、青年よりも先に、青年の同僚たる男の方が反応した。
「クラウディア元帥が来られるんですか？ 訓練に？」
上擦った声に、パークスは頷く。
「ええ、時々いらしてます。最近は業務の方がお忙しいそうですが、そろそろ元帥も飛行機に乗りたくなられる頃でしょうから、都合を付けなさるかと」
青年は、黙っている。
A＝クラウディア元帥には会った事も無い。
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
