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然し、如何する事が最善なのかが解らない、と言うのも確固たる事実であり、この状況を動かせるだけの『空』の知識を、ひとらんらんは持ち合わせていないと言うのもまた事実。
焼き切れそうなそのひとらんらんの思考回路の中、
ピィィィィッ！！
と言う、指笛の強く澄んだ音は、空を突き抜ける様にして、ひとらんらんの鼓膜をさっと、風の様に通り抜けた。
「うわっ！？」
その音に、思考回路は強制的に止まり、聴覚だけにリセットされる。
が、それは一瞬の事。
ひとらんらんを乗せた『イーグル』は、然し『イーグル』の方はひとらんらんが自らの背に乗って居る事などお構いなしに体勢を変えて、急降下を始めた。
余りの急な体勢の変化だったために、慣れないひとらんらんの身体は仰け反る様に宙に浮きかけたが、流石で、咄嗟にハンドルを片手で力強くがっ、と掴み、耐える。
一応『方向の指示』の役割を司る筈のハンドルなのだが、ひとらんらんが片方だけを掴んで自らの身体の方に反射的に引いても、一気に急降下する『イーグル』の方向も行動も取り消される事はない。
一心に、その澄んだ音を立てた方へ、唯々急降下を続ける。
先程の緩やかな航空の中とは比べ物にならぬほどの風圧が、ひとらんらんを襲う。
風が強く頬を切る。空気に真っ向から逆らって、ひとらんらんは眼を開けるのも困難な程だ。
(……ッ)
流石に、高所から真っ逆さまに落ちる経験と言うのも、中々に無い。
今となっては、先程意味の解らなかったあの言葉も、理解が出来る、とひとらんらんはやや顔を引き攣らせながら思う。
詰り、こう言う事なのだろう。
＿＿『
と。
風の抵抗をやや受けつつの自由落下を続けるAと違って、空気抵抗を避けるための的確な体勢が本能に沁みついた『イーグル』の急降下のスピードは、Aの物とは比べ物にならない。
片手だけではなく、両手でハンドルを確りと掴みながら、ひとらんらんはその急降下の風圧に耐えんとして、ぎりぎりに迄眼を細め、身を伏せるように固くしていた。
目にも止まらぬ程の速度で、落下して行く。
そしてその中で、落下運動をするAの身体がひとらんらんの横を一瞬横切ったような気もしたが、残念ながらそれを見、掴み寄せる様な、人離れた技の中の極め技の様な事は、慣れてもいないのにできる訳がない。
視界に遠かった街が急速に、ひとらんらんの目前に迫る。
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
