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先程のAの口振りや会話から察するに、恐らくはAとマグ、と呼ばれたこの整備士は前からの付き合いなのでは無いか。
と、ひとらんらんは思った。
事実を根掘り葉掘り聞きたい訳では決して無い。が、ほんの少しは気になるような気もしなくはない。
が、マグとは初対面も良い処だ。
よって、百歩譲って仮に気になって居たとしても、単なる会釈でこの場は終わるのがまあ普通だ。
が。
「あ、の、クラウディア元帥の方、……格納庫の近くにいらしてましたか？」
マグは意外にも、ひとらんらんにおずおずと話しかけてきたのである。
「え、嗚呼、……」
ひとらんらんは急な事だったのでやや驚いたが、マグの意図を察するのは易かった。
「他言しない」とAに言った手前、自分の与り知らぬ処で誰かが聞いていたなら、マグの不名誉は勿論の事、Aの方にも事の被害が来る。
詰りマグのこの行動は、自分の名誉と言うよりも寧ろ、Aの名誉を守るための行動であると言っても良かった。
「大分落ち着いたと思う。他言は絶対にしない」
マグの心底を察したひとらんらんは、一等適当で、正直な答えを返した。声の中に真摯な響きを籠めていた。
返答と言うには随分と遠回しだったが、マグはそれを察さぬ程の木偶ではない。
「その、周りに、他の人は、……」
「俺の見た限りはいなかった。別に気配も無かったと思うけど」
ひとらんらんは、此の軍事大国の最高幹部だ。自然その実力は、ひとらんらんに限った事ではなく折り紙付きである。
当然、施政同様、戦闘だけが戦争の能では無い。だから、全員が全員戦闘を得意とする訳では無いと言うのも、確かな事ではある。
だが、ひとらんらんの場合は、その立ち位置が、数いる最高幹部の中にも、『武闘派』に位置する処にある。
因みに。
腰に下げた、特徴的な長刀。薄い鉄の刃が反り返ったそれを、ひとらんらんは愛用して使う。
敵にも味方にも畏れられる彼は、その強さの為に『復讐鬼』の名を冠されている。
閑話休題。
剣術のみに限らず、武芸百般を修めたひとらんらんにとって、周囲の気配を探る事など朝飯前の事である。
と言って、ひとらんらんは謙虚だ。そんな事を一々自慢にすることもないし、それを自分だけが出来る特別な事と思った事も一度もない。
『居なかった』と断言しなかったのも、自信の無さと言うよりは、事象や能力の『絶対』を信じていないための物であり、一種の謙虚なのかも知れない。
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
