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「ふ……っ、ま、くん！」
駅の手前で、彼の後ろ姿を見つけた
いつもの坂を越えて
勝利とよく鉢合わせる交差点を越えて
後ろから彼を見るのは、久々かもしれない
「なに、どうしたの」
息を切らす私に驚いて、振り返った彼が笑う
あぁ、どうして
どうして何も言えなくなるんだろう
何か伝えたいのに、何も出てこない
「どうした？」
私の目の前までやって来た彼が、何も話さない私の肩に手を置く
「Aちゃん？」
「相応しくなんか…ないの」
「…え？」
「風磨くん、私なんかじゃ勿体ない」
私なんかが風磨くんのこと好きになっても
私なんかじゃ、勿体ないんだよ
風磨くんには、もっと相応しい人が
そうだ、私なんかが好きになったらいけない相手だった
「Aちゃんはそうやって、傷つかないように生きてきたんだね」
「…へ、」
「自ら自分を下げるようなこと言っちゃダメ、自分を大切にしな」
風磨くんはニコッと笑って、私に顔を近づけた
「Aちゃんを大切にしてくれてる人に、失礼でしょ」
「…それ、勝利にも言われた」
「他の男の話すんなよ」
一瞬、キッと鋭い目線を送られる
「ちゃんと言わないと分からないのかな」
「……」
「好きだよ。Aちゃんのこと」
スーッと、風が2人の間を通り過ぎていく
伝えたかった言葉が
その風に乗って、どこかへ飛んでいってしまった
ほんの一瞬だったその間に、時間がこの世界から消えてしまったみたいだった
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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです＾＾続編もよろしくお願いします！ (2019年4月24日 23時) (
レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです！一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えつ | 作成日時：2019年4月6日 22時
