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「こえーな、あの人」
余り物というのもどうかと思ったが、それしかなかったので私は冷蔵庫に入っていたパンケーキをチンして彼の前に出した
「コーヒーでいい?」
「わりーな、ありがとう」
風磨くんは恐怖から解放されて、安心した様子で健人くんが作ったとは知らないパンケーキを美味しそうに頬張った
「ちょっと過保護なの。私が色々心配かけるから、健人くんはいつも私のこと守ってくれようとしてるだけなの」
「ふ〜ん…」
特に興味もなさそうに頬杖をつく彼にチョコソースを差し出す
「これかけると、もっと美味しいよ」
「これ、Aちゃんが作ったの」
「健人くん」
彼は驚いた様子で咀嚼する口元を一旦止めると、天才かよ…と小さく呟いた
来てくれたんだ、と今更ながら嬉しかったりして
私はチョコソースをかけるその横顔を眺めていた
「ぁ、そうだ」
私は近くにあった財布を持ってくると、その中から5千円札を引き抜いた
「いいよ、いらね」
「そういうわけには、いかないので」
「ほんとに、マジでいい」
彼は頑なにそのお金をもらおうとせず、挙句の果てにはまだ腕に巻かれていた包帯を見て「俺からのお見舞いだ」と笑った
「いやでも…悪いよ」
「んー…じゃあさ、俺のお願い聞いてくれない?」
「うん、なに?」
「今度、一緒に出かけてくれない?」
彼はまっすぐ私の方を向いて、優しい口調でそう言った
なんだかとても、暖かい気持ちになった
「もちろん、いいよ」
「じゃあ決まりね」
そう言って、無邪気な笑顔で笑う
不思議だ、この人は
少し棘のある薔薇みたい
「連絡先、よかったら教えて?」
「うん」
もうすっかり慣れてしまったその声も
強さも優しさも
ほのかに残る少年らしさも
なぜかとても、身近なもののように思えた
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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです^^続編もよろしくお願いします! (2019年4月24日 23時) (レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです!一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えつ | 作成日時:2019年4月6日 22時