愛の行方 (ページ2)

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すばるsaid
あれは遠い日の記憶…
けれど絶対消えることのない記憶…

ある日
夜になってもオカンとオトンが帰ってこなくて
2歳になったばっかの章大と亮の
ご飯の準備もしなあかんかったから
僕は2人を家に残して
必死にオカンとオトンを探した。
みんなで行く公園も、スーパーも、幼稚園も…
もしかしたらオトンとオカンのいる
事務所におるのかもしれないと思って
僕は事務所に行った。
事務所には怖いおじさんがいっぱいおるから
ほんまは行きたないねんけど
僕が知ってる場所で
まだ行ってないのは事務所だけやった。

す｢すみません！｣

自分から話しかけたのは初めてだった。
怒られるかなと思って緊張してた。
けど予想は裏切られた。

組｢あぁ。渋谷のとこの上の子か。
よう来たな。どうかしたん？｣

す｢僕のオトンとオカン居ますか？｣

組｢まだ帰ってないんか？
いつもと同じ時間にここから帰ったで？｣

す｢帰ってきてない…僕たち捨てられてもうたん？｣

組｢そんな訳ないやろ。
今日もお前らの話ぎょうさんしとったで。
可愛ええ可愛ええ言うてな。｣

す｢どうしよう…章大と亮のご飯の時間やのに…｣

組｢よしっ！おじさんが一緒に探したるわ。｣

す｢ありがとう！｣

この時はまだ知らなかった。
俺のオトンとオカンは暴力団にいて
このおっさん達は暴力団の組合の人やったことも…

組｢おらへんな。どこ行ったんや…
家から事務所まで結構遠いから疲れたやろ？
おんぶしたるわ。ほれ。｣

おんぶしてもらったら
高いところから見えるようになって
草むらに誰かが寝転がってるのが見えた。

す｢おじさん！ここ！誰かおる！｣

僕は草むらめがけて一生懸命走った。
草むらをかき分けるとオカンとオトンが
足から赤い液をたくさん出して寝ていた。
僕はその液が『血』って言うんを知ってた。

す｢オトン！オカン！起きて！なぁ！｣

組｢嘘やん…ちょっと待っとけ。今救急車呼ぶから。｣

オトンとオカン死んでまうん？
なんで？僕たちのこと嫌いになったの？

組｢すぐ救急車来るからな。
おじさんと一緒にここで待ってような。｣

す｢オトンとオカン…死んでまうん？｣

組｢せやな…診てもらわなわからんけど…｣

そしたらすぐ救急車が来て
オトンとオカンが乗せられた。

組｢ほら乗るぞ。｣

僕は何が起こったのかよくわかんなくて
とにかく涙が止まらなかった。
救急車に乗ってる間も
ずっとオトンとオカンのこと呼んでるのに
一切反応してくれなかった。