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シェフ紫原 ページ3

「ということで今日から魔王城で暮らすことになった愛だ。この子の分の食事も頼む。」

「いや待ってどういうこと?」

長テーブルがどこまでも続くような食堂でお菓子を食らいながら紫原は聞き返す。赤司の腕に抱きか

かえられた愛に目を向けると顔をじっと覗き込んだ。

「もしかして生贄?」

「正解だ。人の子が食べるものは分からん。というわけでメニューはお前に一任する。」

「えー……ん?」

赤司と紫原が話していたその時、不意に紫原の目の下でサクサクというスナック菓子が噛まれる音が

する。ハッとして紫原が下を向くとそこでは愛がお菓子をつまんでいた。

「ちょっとお!」

「これ、おいしい。」

指に残った微かなカスを舐めとりながら愛は優しく笑う。その天使の笑顔は後光が射すように輝

き、紫原を照らした。

「メニュー開発頑張るし。ちょっと味見手伝ってよ?」

「ん〜? うん!」

今一つ意味を理解していないようだが愛は快く承認する。その時、魔王城に取り付けられた鐘がけた

たましく鳴った。侵入者を伝える鐘に赤司の目が鋭くなる。その途端に赤司は愛を紫原に受け渡し

た。

「安全な場所まで避難させろ。」

「了解〜。じゃあ行くよ、愛ちん。」

「お菓子もっとちょうだい?」

「ダメ。」

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作者名:ワイン | 作成日時:2020年9月10日 21時

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