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「神様方は、『神通力』を持つ者をなによりもご所望するとか。その力を私が持つと……翁がいうのならば、きっと間違いないのでしょう」

本当は、神通力がどういうものかすら、私は知らない。
私は生まれてからこの七年。
ただ、大鵬様の嫁になるのだと……それだけを言われ続けてきた。
そして、神の花嫁になる者としての所作だけを、翁に教わって来た。
神の花嫁として、白衣を身にまとい。
自分の身長よりも長く、黒い髪を伸ばし続けていた。
神様方は特に長い黒髪を好むらしい。
そこに霊力が宿るからだと、むかし翁が言っていた。
私は、大鵬様の花嫁になるためだけに存在していた。

――ならば。

私に選択の余地などないのだ。
私の価値は私が決めるものではない。
もちろん翁が決めるのでもない。
全ては神である、大鵬様の意思に委ねるしかない。

「私は翁の願いを聞き届けます。「花嫁」として私を大鵬様の元へお連れください」

「花嫁様……」

「人々が渇き苦しんでいる……。そんななか、毎日の膳の用意、感謝いたします。これよりは、私は私の本来の役目を全うすることで、その恩義に報いたく思います」

翁の目にうっすらの光るものがあった。
それはこの七年間で、初めてみるものであった。

「翁……それはなんですか?」

私は翁の目の水を袖で指示した。

「なんでもありませぬ」

鼻をすすって、翁は目をぬぐった。
光る水はなくなっていたから。
きっと翁の言うとおり、なんでもなかったのだろう。

「それでは明日、「花嫁様」には大鵬様の元へ嫁いで頂きます」

「はい」

頷く私に、

「どうか、大鵬様に雨乞いを……」

と翁が頭を下げた。

私は、そのために生かされてきた。
だから。

「誠心誠意努めます」

そう応えた。

一章『名無しの花嫁』→←序章『乾く夏』



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設定タグ:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - Nonさん» (続)しかし、物語にのめり込める……そう仰っていただけ嬉しいです。ありがとうございます。国語力は……常に平均レベルでした(汗) 夢想力は多少あるかもしれません(笑) Nonさんこそ、とても誉め上手です。沢山、嬉しい言葉をくださり、ありがとうございます! (2014年8月30日 23時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - Nonさん» ありがとうございます。後編もなるべく楽しんでいただけるよう、精進いたしますね。少し間が空きますが、公開時は宜しくお願い申し上げます! それから、文章……お褒め頂き有ありがとうございます。力があるかは私自身は判断を読者様に委ねるしかできません(続く) (2014年8月30日 23時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂.さん» ありがとうございます! ボード、確認いたしました。本当にありがとうございます! レスさせていただきましたので、またご覧下さると幸いです。本当にありがとうございます! (2014年8月30日 23時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
Non - どうも、またNonです。後編すごく楽しみにしてます!一花様はほんと文章力が凄くあると思います。国語とかは得意なほうでしょうか?凄く物語にのめり込めるので大好きです!あと、誉めるのもとても上手いですよね! (2014年8月26日 6時) (レス) id: 240a63bd27 (このIDを非表示/違反報告)
光珂.(プロフ) - こんにちは。 前編完結、おめでとうございます!  誤字脱字のチェックをしたのですが、諸事情でボードの方に書かせて頂きました。 お時間のある時に確認お願い致します。 (2014年8月25日 16時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年7月22日 22時

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