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仕方ない ページ13

「あ…」




ぱしん、ぱん、とんとんとん…と響く音。


研磨が打ったボールは力なく、ネットの真ん中あたりに引っ掛かった。

とぼとぼと、コートに戻ってきた研磨に向かって


「双子だもんね。」


と言う。
そして、2人で「仕方ない」と言った。


それからと言うものの、なかなか点差は開くことなく取っては取られの繰り返しだった。


でも疲れがで始めたとき、クロのスパイクを止めても
相手の嫌らしいところに打ってくるサーブをギリギリであげても、
どんだけ、しつこくボールを上げても、彼らは喜んで、嫌そうな顔一つしないで返してくれた。

こんなの、取れないってボールが上がった時なんか凄く嬉しそうだった。



もし、男の子に生まれてたらどれだけ楽しかったのだろうかと一瞬でも考えてしまった。



その日はあまりにも試合が長引くため、途中で辞めさせられた。
久しぶりにしたバレーは新しいゲームをした時のように楽しかった。
クロとか、イヌさんとかトラさんに笑われるのはシャクだったけど。


なんて思いながら、私はまたコートの端っこに座る。
サーブ練習と、スパイク練習が始まったら私は見学するしかない。
選手でもないし、マネでもないから。
ボーッと見ていると、イヌさんがこっちに走ってきた。


「Aー!もし良ければなんだけど、ドリンクだけ作ってきてくれない?
俺、次ドリンク作る係なんだけど、やれって言われてた練習と被っちゃってさー。」


私はもちろん、と言ってメンバー全員のドリンクボトルと粉を運んだ。
水道に着くと、私は両ポケットに詰めた粉袋を取り出して流れ作業でドリンクを作っていく。
高校に入って私はチームメイトからドリンク作りばかりやさられていたからあっという間に全部のボトルがドリンク入りになる。


さて、運ぶか。とボトルを持ち上げる。
そういえば、痣消えてるな…。


「お!まじサンキュー!」


と、イヌさんがドリンクを運ぶのを手伝ってくれた。


「おーい、犬岡くん…?」


と、突然クロの声がする。
ずんっと、背後に訪れる大きな気配。
そして、あんまり人の名前に「くん」をつけないクロがくんをつけている…。

これは…お怒りクロさん…。

私はイヌさんからドリンクボトルを薙ぎ取り、みんなの方へ走った。
案の定、クロの怒鳴り声のような、煽りのような、声が聞こえた。

代償→←サーブだけは



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- 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…!!それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…!!応援、ありがとうございます、更新頑張ります!!  (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…!!そしてな、なんと!!??そんな…嬉しすぎます…!!頑張ります!!本当にありがとうございます!!嬉しすぎて…(´;ω;`) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します!初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです!応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年3月26日 3時

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