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ヒトと喰種 ページ11

ズキズキと、痛みが私の意識を覚ました。
目は上手く見えない、というより開けられない。
でも耳はよく聞こえた。


「…今日もよく耐えたな。」

「…ちゅうやさんですか?」


と、声の主に私は話しかける。
少し、驚いたような息遣いがした。


「…てっきり寝てるかと。」

「起きてますよ。」


そう笑う。
しかし、目が開きにくい。
なんでだろうか。


「…酷い事しやがるな。ちょっと待ってろ。」


と、何処かへ中也さんは行ってしまった。
しかしすぐ帰ってきて、地面に何かを置いた。


「じっとしてろよ。」


そう云い、私の目にひやっとしたものが触れたかと思うと、パチパチと何かを切る音がした。
そして、私の目はゆっくりと開いた。

なるほど。
私の目は縫われていたのか。


「大丈夫か?その傷の穴は塞がるのか…?
跡は残るのか…?」


中也さんはいろいろ聞いてきた。
その質問はどれも私に関する、心配のような質問だった。


「大丈夫ですよ。綺麗さっぱり消えます。」


そう笑う。
その笑顔を見て中也さんは安心した顔をしていた。
その顔を見て私も安心する。


「あともう少しでA、手前を此処から出してられる。
だから、もう少しの辛抱だ。」


と、私の目をしっかりと見て彼は云った。
なんで彼はこんなに私に優しくしてくれるのか、純粋に気になった。
でも今聞いても仕方がないと思って、今回聞くのはやめた。


「そういえば、こんなところにいて大丈夫なんですか?
幹部なんですから忙しいでしょ…?」

「…そろそろ危ないかもな。
明日も、耐えてくれ。」

「はいっ、勿論。」


私はそう笑いかけた。
そして、そう笑いながら彼との友情や絆はこれ以上深まらないことを察していた。


私がもし、喰種じゃなければ良かったのに。
喰種の私なんて居なければよかったのに。
そう考えながら、彼をこの地下から見送った。

繰り返しのそのまた繰り返し→←冬の日



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設定タグ:文スト , 転生 , 東京喰種
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hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» >>また、他にも評価が高い作品が多い中で、この作品を読んで頂きありがとうございました。 少しでも楽しませられたら幸いです。 本当にありがとうございました (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» ご指摘、ありがとうございました。本当に助かります…orzすぐ、誤字や誤った設定をしてしまう癖があり、誤字などがある作品の印象って悪くなると思うんです…。なので、珈世さんのような方がいらっしゃると本当に助かりますorz >> (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» >>また、文ストと混ると言うことは、文ストは好きだけどグロは苦手、と言う人も読めるような、マイナスな印象を与えず書けていたみたいで良かったです。 最後になりますが、他にも引き寄せられる作品がある中で読んでいただき本当にありがとうございました。 (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» Nightさん、コメントありがとうございます。内容を好んでいただけて、本当に嬉しい限りです…昇天できます…。それと、文ストと混ぜる、そして文ストの世界に転生する夢主が喰種という不思議な設定が上手く惹きつけられる要素になっているようで安心しています…orz >> (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 夜雨ナナトさん» >> 最後になりますが、数多くの作品の中でこの作品を読んで頂きそして、応援していただき本当にありがとうございました (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年1月15日 0時

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