路地裏の誘拐犯/zm ページ7
会社からの帰り道、終電に間に合わないと思って近道をしようと路地裏を抜けようとしたあの時の自分を殴りたい。
鼻に刺さる鉄のツンとした匂い、横たわる人、片手で私の口を塞ぎながら濡れたナイフを首元に当てる男。
緑色のパーカーのフードを頭まですっぽりと被った男は、ニヤリと白い歯を輝かせた。
「叫んだら殺す。ええか？」
掠れた男の声がクリアに耳に届く。
ガタガタと震える体で、それでも返事をしなければと何度も首を縦に振った。
「あんた運が悪いな、いや運がええんかな。」
楽しそうな声色でそう言うと、男は私の前に三本の指を突き出した。
「あんたにみっつ、選択肢をやるわ。」
「みっつ…。」
思わず出してしまった声に慌てて両手で口を押さえる。
そんな私を見てヒハッと笑っているから、今ので殺されるということはなさそうだが…。
「ひとつ、今からここで死ぬ。」
あ、だめだ。
やっぱり私の人生はここで終わりかもしれない。
「ふたつ、頑張って俺から逃げてみる。まぁ無理やと思うけど。」
それって結局逃げられなかったら殺されるって事ですよね…。
今のところ死ぬか死ぬしか選択肢がないのだが、これは遊ばれているのだろうか。
「みっつ…。」
最後の選択肢。
固唾を飲んで見つめる男を、ビルの隙間から差し込んだ月明りが照らす。
「俺に攫われる。」
イケメンだった。
恐怖で頭がおかしくなっていたのかもしれない。
これが吊り橋効果というものか、ドキドキと鳴る心臓がまるでこの瞬間恋に落ちたと錯覚してしまいそうだった。
決してイケメンに漫画のような台詞を言われたからではない。
そう、信じたい。
「さ、三番でお願いします。」
「あ、ほんま？よかったわ、あんた血が似合いそうやけどビビってる顔もなかなかそそられたからな。」
可笑しそうに笑う男をただ呆然と見つめると、また男はニヤリと笑って私を抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこというものだ。
人生でお姫様抱っこなんてされた事のない私の心臓はうるさいくらいに高鳴っていた。
認めよう、これは完全に恐怖でドキドキしているわけではない。
「んじゃお持ち帰りで。ヤリすぎて殺したらごめんな？」
「ひぇっ！」
撤回します。
今、めっちゃ怖いです。
再び男の腕の中でガタガタと震え始めた私に、男は笑う。
「そう、その顔。早くいじめたいわぁ。」
愉快に笑いながら私を抱えたまま暗闇に進む男。
その後、私がどうなったのかはご想像にお任せします…。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです｡｡｡｡｡｡｡ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ（笑）というか見てますよ…！もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ！そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集３もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか！楽しみだー（*＾＾*)心ぐるぐるっ待ち♪してます（笑）いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます！そして今まで気付いてなくてすみませんでした！(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します！！今後も仲良くしてくださいね！！ (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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