逃れられない視線/eml ページ27
ぞわりと背筋に悪寒が走る。
見てる、めっちゃ見てる、こっち見んな。
彼にだけ発動する背中の目は、はっきりとその姿を認識した。
まぁ実際見えるわけではないのだが、オーラというか気配というか…とにかく背後に彼の存在を感じた時、振り返れば必ずその姿があるのだから間違ってはいない。
「エーミール教授…。」
「はい。」
前を向いたまま名前を呼べば、分かっていたかのように驚きもしない返事。
やっぱりいるんじゃないか。
きっとあの嘘臭い微笑みを張り付けているんだろう。
「なんでいつも背後にいるんですか。」
振り返ってみれば、やはり想像通りの顔。
片手を顎に当てて微笑む彼。
「Aさんの後ろ姿が好きだからです。」
「最高に気持ち悪い解答ありがとうございます。」
「ふふっ。」
厭味に怯みもせず、むしろ楽しそうに笑う。
遠慮を知らない視線はつま先から頭のてっぺんまで舐めるように見つめて来る。
眉間に皺を寄せてあからさまな嫌悪感を表に出しても、彼には通用しない。
「もう私の後ろに立たないで下さい。」
「じゃあ前から見ましょうか、私は別にどちらのAさんも好きなので構いませんよ。」
「見るのをやめろと言っているんです。」
「えぇ…それは無理ですね。」
いちいち表情を作るのはやめてくれ。
困ったふりして楽しんでるくせに、結局相手にしてしまった時点で私の負けな気がする。
「じゃあ今度から私がエーミール教授の背後につきます、見られる不快感を思う存分感じてみてください。」
スタスタと早足で彼を追い越してくるりと振り返る。
スラリと伸びた長身の上にちょこんと乗る丸く小さい頭。
一体何頭身なんだ、無駄にいいスタイルにムカついてくる。
「どうですか、背後からジロジロ見られるのは。」
「そうですねぇ…ぞくぞくして気持ちいいです。」
「……は？」
「Aさんが私の事を見つめてると想像しただけで興奮します。」
ヤバイ、こいつはヤバイ。
まさかここまでとは思わなかった、早くここから逃げなくては。
足音を立てないように、慎重に後ろへ少しずつ下がる。
「…どこへ行くんですか？」
「ひぃっ！」
まさか彼の背中にも目があったとは…！
こっちを見ていないのに、エーミール教授の背中からじとりと視線を感じて動けない。
「ちゃんと見ていてくださいよ、私のこと。」
振り返った彼は嘘臭い笑顔が剥がれ落ちていた。
おそらくこの顔が彼の本性。
狂気的に歪んだ笑顔に、もう彼の視線から逃げることはできないのだと悟った。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです｡｡｡｡｡｡｡ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ（笑）というか見てますよ…！もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ！そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集３もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか！楽しみだー（*＾＾*)心ぐるぐるっ待ち♪してます（笑）いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます！そして今まで気付いてなくてすみませんでした！(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します！！今後も仲良くしてくださいね！！ (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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