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「鬱先生が好きなんです。」
私は一体何をしているんだろう。
窮屈な空間に体育座りをしながら、一刻も早くこの茶番が終わって欲しいものだと思った。
お決まりの英語科準備室。
いつもの鬱先生との暇潰しの時間は、ノックの音に中断させられた。
入れ替わりで立ち去ろうと思っていたのに、扉の向こう側から聞こえた女の声に鬱先生はにやりと笑って私を机の下に押し込めた。
溜息すら吐けないというのはなかなかに苦痛である。
鬱先生の事だから何か面白い事でも、それこそこの場でおっぱじめでもしてくれるのかと思えば、聞かされたのはただの告白。
あれは確か社会科の教師だったような気がする。
「ごめんな、僕好きな子おんねん。気持ちは嬉しいんやけど…。」
「そうですか…。」
演技がお上手ですこと。
鬱先生に好きな人なんかいるわけないでしょ。
この関係になって分かった事だけれど、鬱先生は私と同じだ。
他人にそこまでの情を持てるような人ではない。
「あの…私、この年まで好きな人ってできた事がないんです、鬱先生が初恋なんです！」
「そうなんや、可愛いのにもったいないなぁ。」
嘘だろ。
私の記憶が正しければ、この女教師はそんな清純な感じではなかった。
どちらかと言えば男をとっかえひっかえしてるような印象だったのだけど。
鬱先生だって可愛いなんて全く思ってないでしょ。
お互いが嘘の言葉を並べて…本当になんなのだ、この茶番は。
「だから、あの、せめて思い出に…キス、してくれませんか？」
こちらもなかなかの演技派ではないか。
恐らく今、鬱先生の前で顔を赤らめてもじもじとしているに違いない。
なんだか見たくなってきたな。
「ええよ、それくらいなら。」
なるほど、鬱先生が私をここに押し込めた理由はこれか。
この女が告白してくる事も、本性も、行動すら予想通りって事ね。
さすが、それでこそ私のゲーム相手ではないか。
静かになる空間で、目を瞑って二人の口付けを想像する。
軽めの優しいキスか、はたまた濃厚な大人のキスか。
先生の唇を思い出しながら予想する。
あの女教師相手なら大人のキスかな。
「ありがとうございます、一生の思い出にします。」
最後まで純情女を貫き通して去って行った彼女に拍手を送りたい。
だけどあなたは間違った。
この人は清純な女が好きなフリしてるだけだ。
誰の物にもならないのだ。
だったらありのままの彼女で誘えばキスではなく、一夜を共にできたかもしれないのに。
それなら私も、もっと楽しめたのに。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオ - コメント失礼します。思わず一気読みしちゃいました！貴方様は神ですか？ありがとうございます。 (2022年1月28日 22時) (
レス) id: 99e64baad8 (このIDを非表示/違反報告)
か(プロフ) - この作品を生み出してくれて本当にありがとうございました。 (2020年3月30日 16時) (レス) id: f33d68be6d (このIDを非表示/違反報告)
なな - 単推しとニ推しとか…もうにやけとまんねぇ() 語彙力分けてほしい(( (2019年9月7日 17時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮、(プロフ) - コメント失礼します…！！もう文面も設定も好みのドストレートすぎて思わず一気に読んで、衝動的にコメントを書いてしまいました。本当に楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました！！ (2019年1月11日 0時) (レス) id: b4451f6a6c (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 一話目からドストライクすぎてﾝﾝｯｯってなってます本当にありがとうございます崇めます (2018年12月3日 21時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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