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関係が変わったのは鬱先生だけではない、グルッペンさんとも少し変わった。
第二土曜の約束がなくなった代わりに月に何度か誘いの電話が来るようになった。
誘いに乗るかどうかはその時々ではあったけど、恋心という感情への探求心と、もしかしたらこの先グルッペンさんを好きになれる可能性があるのかを見極めたくてその手を取る事の方が多かった。
今日もこうして彼の誘いの手を取った私は、学生を連れてくるのには場違いともいえるような高層ホテルのレストランで全面ガラス貼りにより綺麗に輝く夜景を見下ろしながら彼と食事を共にしていた。
最後に私の前にだけ置かれたチョコレートケーキにフォークを突き立てたところで、前からお皿の上の黒い塊に向けられる視線に気が付いた。
「欲しいならあげますけど。」
「いや、いい。」
「でも好きなんでしょ甘い物、別に引いたりしませんよ？」
「大先生か。」
恥ずかしいのかムスリとした表情をして外を見つめるグルッペンさんの前に、一口分のチョコレートケーキを刺したフォークを差し出す。
「はい、どうぞ。」
チラリと視線を寄こしたグルッペンさんの瞳が僅かに開いた気がした。
手ずから食べ物を差し出すなど行儀が悪すぎたか、失礼しましたと言いながら引き戻そうとした手はグルッペンさんの手に捕らわれた。
「ん、うまい。」
「…よかったですね。」
甘い物くらいでそんな蕩けるような笑顔を見せないで欲しい。
それともそれは私に対する気持ちがそうさせているのだろうか。
捕まれた手はやはり熱くて、そこから彼の気持ちが私へ浸食してくるような気がした。
触られた箇所が熱い、熱は移るのだろうか、それなら私が触れた鬱先生の手も熱が残ったのだろうか、私の気持ちが伝わってしまっただろうか。
「大先生と話したりするのか？」
「えぇたまに、あなたの事ばかりですけど。」
「気を付けろよ、あいつ女癖悪いからな。まぁ俺のにまで手を出したりしないだろうが。」
「鬱先生が私なんか相手にするわけないじゃないですか。」
言い方が悪かったかと思ったがなぜか上機嫌なグルッペンさんは気にしていないようだった。
そう、鬱先生が私を相手にする事なんてもうあり得ない。
グルッペンさんの言う通り鬱先生の中で私はもう彼の物なのだ、そうでなくても鬱先生が私を選ぶなんてなかっただろうけど。
自虐的な考えに熱を持っていた右手はすっかりその面影を消し、テーブルの上に残されたチョコレートケーキはそれ以上食べたいなんて思えなくなった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオ - コメント失礼します。思わず一気読みしちゃいました！貴方様は神ですか？ありがとうございます。 (2022年1月28日 22時) (
レス) id: 99e64baad8 (このIDを非表示/違反報告)
か(プロフ) - この作品を生み出してくれて本当にありがとうございました。 (2020年3月30日 16時) (レス) id: f33d68be6d (このIDを非表示/違反報告)
なな - 単推しとニ推しとか…もうにやけとまんねぇ() 語彙力分けてほしい(( (2019年9月7日 17時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮、(プロフ) - コメント失礼します…！！もう文面も設定も好みのドストレートすぎて思わず一気に読んで、衝動的にコメントを書いてしまいました。本当に楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました！！ (2019年1月11日 0時) (レス) id: b4451f6a6c (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 一話目からドストライクすぎてﾝﾝｯｯってなってます本当にありがとうございます崇めます (2018年12月3日 21時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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