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鬱先生の口から吐き出される煙を追う。
薄くなって消えていく白煙は掴みどころがなくて、まるで鬱先生のよう。
「悪い女になってどうするん？」
「特にはどうという事はないですね、ただもう少し楽に生きれたり、楽しく生きれるかなって。」
「んじゃそのパンツ丸出しの姿で校内歩いたらどうや？面白いで。」
「それじゃただの痴女じゃないですか。」
クツクツと笑う鬱先生。
始めからまともに取り合ってくれるとは思っていなかったけど、これはちょっと手強そうだな。
小さく溜息をつくと、腕を引っ張られる。
「なら、教師とイケナイ関係になるっちゅーのはどう？」
悪い女っぽいやろ？と寄せられる顔。
多分こうすれば引くと思ってるんでしょう？
「それもいいですね。」
まるで殴り合いの喧嘩をしかけるみたいに、鬱先生のシャツの胸元を掴んで引き寄せる。
一瞬だけ、軽く触れた唇。
薄く開いた先生の口から離れる際に香る煙草の匂いに顔を顰めた。
「煙草、やめた方がいいですよ。」
「自分からしたくせに。」
「授業料です。」
「よし、染井ちゃんは充分悪い女や。もう僕に教えられる事は何もない。」
「やり逃げですか、訴えますよ。」
「やられたの僕の方なんやけど…。」
キスまでして、至近距離での会話に一切照れがないのはお互いに全く意識してないからだろう。
こんな事では揺るがないのだ、彼の心も、私のつまらない日常も。
もっと私の心を大きく揺さぶるような事を。
枯れてしまった感情を震わせるような事を。
子供の頃にあったそれらを取り戻す事ができたなら、この他人との口と口の接触行為に対してももっと心の底から沸き立つ何かを感じられるんだろうか。
「女子高生のファーストキスなんです、高いですよ。」
「重っ！僕、重い女苦手やねんて…。」
「なんとでもどうぞ。別に鬱先生に対して好かれたいとは思っていませんので。」
「ほんまめんどくさいわ…。」
もう隠すことすら諦めた様子の鬱先生。
立ち上がって項垂れる頭を見下ろした。
「好かれたいとは思いませんが、教師とのイケナイ関係は悪い女っぽくて気に入りました。これからもよろしくお願いしますね。」
立ち上がる事で風に舞うスカート。
それを翻して屋上から立ち去る。
「パンツ丸出しでかっこつけんなや…。」
背中に刺さる鬱先生のくたびれたような声に薄く微笑んだ。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオ - コメント失礼します。思わず一気読みしちゃいました！貴方様は神ですか？ありがとうございます。 (2022年1月28日 22時) (
レス) id: 99e64baad8 (このIDを非表示/違反報告)
か(プロフ) - この作品を生み出してくれて本当にありがとうございました。 (2020年3月30日 16時) (レス) id: f33d68be6d (このIDを非表示/違反報告)
なな - 単推しとニ推しとか…もうにやけとまんねぇ() 語彙力分けてほしい(( (2019年9月7日 17時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮、(プロフ) - コメント失礼します…！！もう文面も設定も好みのドストレートすぎて思わず一気に読んで、衝動的にコメントを書いてしまいました。本当に楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました！！ (2019年1月11日 0時) (レス) id: b4451f6a6c (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 一話目からドストライクすぎてﾝﾝｯｯってなってます本当にありがとうございます崇めます (2018年12月3日 21時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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