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ビーチパラソルの下でグルちゃんに買ってもらったカキ氷をさっちゃんと食べる。
グルちゃんはシートの上で顔にタオルを被ったまま寝転んで全く泳ぐ気がなさそうだし、鈴木さんたちは折角グルちゃんに見せる為に買った水着だというのに恥ずかしがって海へ入って行ってしまった。

一体何しに来たんだこいつら。
呆れつつも自分には関係ないからいいや、とカキ氷を頬張った。

「Aちゃん、私ちょっと売店でお土産見て来るよ。」
「えーじゃあ私も行くー。」
「Aちゃんはグルッペンくんといてあげて、放置してたら熱中症になっちゃいそうだし。ちゃんと水分取らせてね。」
「んー、分かったグルちゃんのお守りしてるわ。」
「お守りってなんや。」

顔のタオルを少しズラしてこっちを睨むグルちゃんに、さっちゃんはニンマリと笑った。

「じゃあグルッペンくん頑張ってね。」

さっちゃん、グルちゃんは一体何を頑張るというのだ…。
意味深な言葉に首を捻るもさっぱり分からず、とりあえず残りのカキ氷を口に流し込んだ。

「ねぇグルちゃん泳がないの?」
「今泳いだりしたら死ぬ。」
「私から頼んだとはいえ一体何しに来たの?わざわざ来なくても家で寝てればよかったのに。」

やれやれといった感じでグルちゃんを見ると、グルちゃんは起き上がって胡坐をかく。
何かを考えてるような顔で前を見つめるグルちゃんに、前を通った男の人たちが焦ったように走り去って行った。

怖いよね、分かる分かる、チンピラみたいだもん。

心の中で同情しているとスっと目の前に白いシャツが差し出された。

「着とけ。」
「え、いいよ別に。」
「いいから着とけ。」

無理やり背中から被せられた私には大きいシャツに仕方なく腕を通す。
私がきちんと袖を通したのを確認すると、グルちゃんは前方に視線を移して口を開いた。

「お前が楽しみにしてたって言うからやな…。」
「え?」

モゴモゴと歯切れ悪く喋るグルちゃんの言葉に目を開く。
それって…。

「私が楽しみにしてるって言ったから来たの?」
「………一か月以上もお前に会えんとか、俺は無理。」
「へ?」
「やから明日からは俺ん家に遊びに来い。」
「あ、と…でも彼女でもないのに男の子の家に行くのは…。」

なんだか胸がざわざわするような会話に、少し戸惑いながらグルちゃんを見る。
グルちゃんもこちらを一度チラリと見て視線が合ったあと、すぐにふいっと逸らした。



「やから彼女なら問題ないやろ。」

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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひとちん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月6日 4時

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