→続 ページ18
「さぁ行くわよコネシマ!愛を掴み取りに!うっつんも付いて来て!ワンチャンその場で挙式もあり得るわ!ギャラリーが必要よ!」
「せやなぁ盛大にお祝いしたろ。」
「アホか!大先生は面白がっとるだけやろ!」
煩いチワワを引きずりながらスッキプで廊下を走る。
らんらん様と私の薔薇色の未来がもうすぐ手に入る…!
鶏小屋の前に彼はいた。
とくんとくんと高鳴る鼓動を隠しながら、清楚なお嬢様という雰囲気を出しながら前を歩く。
鶏小屋の横には金髪の悪魔も立っていたけど、恐らく私たちの結ばれる瞬間を見に来たのだろう。
小屋の前でピタリと立ち止まるとらんらん様と視線が合う。
「ご機嫌麗しゅう。わたくし日課の犬の散歩をしておりますの。」
完璧だ…完璧にお嬢様が憑依できている。
今年の最優秀女優賞はもはや私で決まりだ。
らんらん様が私の目の前に来て口を開く。
大丈夫、プロポーズの返事なら決まってるわ。
「そういうの、どうかと思うけど。」
凍てつくような冷たい視線を浴びて、ひゅっと喉が鳴る。
くるりと踵を返して去っていくらんらん様……ど、どうして!?
「ドン引きだったな。」
「どういう事よ!?私の作戦は完璧だったはずよ!」
「何が完璧やねん!アプローチの方法考えろや!」
「あはははは!Aちゃん最高っ!」
「くっそ…!グルッペン!あんたらんらん様に何かよからぬ事を吹き込んだんじゃないでしょうね!?」
グルッペンの胸倉を掴み上げグラグラと揺すると、その手を捻られ地面に投げ飛ばされた。
「ぶふぇ!何すんのよ!」
「お前の最大のミスはその頭の悪さだ。」
「アホすぎるやろ、はよこれ外せや。」
「ひ、ひどすぎる…!こんな事ってないわ…!」
地面にひれ伏して号泣する私の肩にポンと手が置かれる。
「まぁまぁAちゃん、また頑張ったらええ。」
「う、うっつん…我がソウルメイトよ…!」
「今度は違う方法でアピールする事や、これ俺からの餞別、頑張るんやで。」
「うん…!」
ぎゅっと固く握られた手の中で何かを渡された。
開いた手のひらを見ると、くしゃくしゃになったゴム。
「さて、帰ろうや。げどちゃんにフォローしたげよ。」
「あいつもとんだ災難だったな。」
「それよりグルさんこれ外してや。」
非情にも去って行く3人の背中を見送りながら、手のひらのゴムをぐしゃりと握り潰す。
「諦めない…!私は絶対に諦めないわよ…!」
私の声は虚しく校庭に響いた。
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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
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