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Aの髪に指を通しながら起きるのを待つ。
サラリと掬い上げては落ちるサラサラの髪が気持ちいい。
飽きる事なくその感触を楽しんでいると、もぞりとAが動いた。
「ん…。」
俺の胸から顔を上げたAの目元は泣きながら寝たせいで少し腫れている。
可哀相だと思う反面、俺を想ってこうなっているのかと思うと嬉しくもある。
まだ完全に覚醒していないAは目を瞑ったままゆらゆらしている。
落ちないように腰の後ろでしっかり両手を結ぶ、それにしてもクソ可愛いなこいつ。
たまらずAの頬にキスをする。
「……………えっ!?」
一瞬だけ触れたAの頬は柔らかくて気持ち良かった。
もう一度してやろうと顔を寄せたところで、意識を取り戻したAから胸を押され離される。
「えっ、グルッペン今、え?夢?」
「もう一度してやろうか?」
「いえ!結構です!」
真っ赤になって戸惑うのが可愛すぎて、腰に回した手に力を込めて抱き寄せる。
あぁもうダメだな、気持ちが溢れて抑えられない。
「ちょ、えぇ…ど、どうしたの?」
「好きだ。」
言葉になって零れた気持ちを伝えれば、ジタバタしていたAがピタリと止まる。
「なぁ、今から最低なこと言うぞ。」
「…うん。」
「待っててくれ、誰のものにもならず、俺の事を。もしかしたら5年…いや、10年かかるかもしれん、正直に言えば生きて帰って来れるかも分からん。それでも、待っててくれんか?」
正直な気持ちを口に出す。
本当に最低な自分勝手な願いだ。
でも、もうなりふり構ってなんかいられない。
それくらいお前が好きなんや。
Aは黙ったまま、俺の肩に手をつき体を離す。
少し低い位置にある顔を上げればその表情は涙をボロボロ流して、それでも笑顔だった。
「ありがとう、グルッペン。待っててって、言ってくれて…。嬉しい。…私もグルッペンが好き、ずっと待って、んっ。」
Aの言葉を遮ってその唇にかぶりついた。
胸が締め付けられるような気持ちに、そのまま何度も何度もAの唇に口付けを落とす。
飽きる事なく送り続けるキスの雨にAが苦しそうにしているのが分かり、最後に軽く口付けて顔を離す。
「ふふっ、しょっぱい。」
「お前が泣くからだ。」
「グルッペンも目、潤んでるよ。」
「うるさい、見るな。」
恥ずかしさを隠すように、もう一度口付けを送った。
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なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
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