【wrwrd!】総統の愛した甘味屋さん

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一瞬何が起きたのか分からなかったけど、腰に回るグルッペンの腕に抱きしめられているのだと理解した。
視界はグルッペンの白いシャツでいっぱい、細く見える体はしっかりとした筋肉がついていて男の人なんだって強制的に意識させられる。

「グ、グルッペ…」

どうしたのかと顔を上げてグルッペンを呼ぼうとした言葉が止まる。
グルッペンの視線は森の方へ鋭く向いていた。

もしかして追手の人が来たのかも。
幸せの時間が突然終わりを迎えるかもしれない恐怖に体が震える。
ヤダ、ヤダ、ヤダよ…。まだグルッペンと一緒にいたいよ…。
無意識にグルッペンの背中に手を回してシャツをぎゅっと掴むと、グルッペンの腰を抱く腕にも力が増す。

「A、騒ぐなよ。狼だ。」

耳元でグルッペンの低い声がする、え？狼？

グルッペンから少し体を離して首だけで振り返ると、そこには久しぶりに見る友人の姿があった。

「アルだ。」
「あ？」

グルッペンの背中から手を放して、大きくアルに手を振る。

「アルー！大丈夫だよー！おいでー！」
「ちょ、ちょ、ちょ、Aさん？」

焦るグルッペンをよそにアルはゆっくりとこちらに近寄って来る。
グルッペンの腕が腰に巻き付いたままさっきより力が入ってちょっと痛い。
アルが私たちの１ｍ近くまで来るとグルッペンは一瞬ビクリと反応した、大丈夫だよ、アルは優しい子だから。
グルッペンの腕を腰から剥がして地面に膝をつくと、アルは私に擦り寄ってくる。

「久しぶりだねアル！覚えてる？洞窟にいたグルッペンだよ！」

賢いアルは私の言葉にチラリとグルッペンを見たけど、まるで興味がないと言わんばかりにすぐに視線を外し私の顔をペロリと舐める。

「…おい、犬って言ってなかったか？」
「え？アルは犬でしょ？」
「それは狼だ。」

えっ！？アルって狼だったの！？アルの顔を掴んでまじまじと見ながらそう言うとまたペロリと顔を舐められた。こんな懐っこい狼いるの…？
その後もペロペロと舐め続けるアルとじゃれあっていると、ずいっと顔の横から手が伸びてきた。
そのまま首に回された腕に後ろに引っ張られると、頭がぽすっと固いものにあたった。

「グルッペン？」

今度は後ろから抱きしめられる形になり、グルッペンを見上げるとなぜか不機嫌だった。
え、どうしたの？

「…腹減ったから飯。」
「あ、うん。ごめんね、帰ろっか。アルもおいで。」

お腹すいたから機嫌悪いのかな？
てゆーかなんで二人睨み合ってるの？

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