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楽譜を見ていたら、何となく指が動く気がして
それは気の所為なんかではなく、やはり指は自然と鍵盤の上を踊った
けど、皆が期待するように記憶が戻った訳じゃなくて…
夕凪の残念がる様子を見て、気に病ませてしまっている事を悔やみながらも椅子から立ち上がった
その瞬間……
_「いや、だって五条が………想像付かないって言うか………あいつ本当に……〜…生意気じゃない!」
_「それは…婚約者…〜……五条くんに…〜……かな?」
A「……え…っ」ピタッ
一瞬、私の頭の中に流れた…所々掠れたように靄のかかったままの映像
これは…何…?
傑「ん…?A、どうかしたのかい?」
A「いえ…っ……今…何か…」
これ…もしかして、私の忘れてしまった記憶の一部…?
A「…あの……っ…この部屋に…女性の方がお二人 いらっしゃった事ありませんか…?
多分、高専関係者でしょうか…お一人は制服で、もう一方は袴姿の女性が…」
私の頭の中に流れた映像には、白髪の大人びた制服姿の人と黒髪の袴姿の人が一人ずつ…
私のはっきりとした記憶の中には、そのような人達は存在しない
つまり、高専関係者だとは思う…
悟「…!それ…冥さんと歌姫の事じゃ…」
私の話を聞き、悟さんがはっとしたようにそう言った
A「め…いさん…歌姫さん…」
言われた名を口にした時、やはり悟さん達の名を口にした時と同様に言い慣れた感覚があった…
傑「確かにAの言う通り…この部屋に二人、高専の女生徒が出入りしていたと思う
私達がAの護衛につくまでの前任者達だよ…
Aが事故に遭う日の直前まで、彼女達はAの傍に居た」
夕凪「…お嬢様、記憶が…っ」
A「はっきりとは思い出せないけど、今 ほんの一瞬だけ頭に映像が流れたの
それでも、靄がかかったみたいな…不鮮明な物だったけれど
何か話してる声も、所々 途切れて…何の話をしているかまでは聞き取れなかったわ…」
でも、不鮮明な中でも…見えた映像の背景はこの部屋だった
今まで思い出せなかったけど、この部屋に戻ってきた事で
多少 記憶を引っ張り出すきっかけにはなったと考えていいのかしら…
傑「はっきりとは思い出せないか…でも、これで何か些細なきっかけでもあれば徐々に記憶が戻りそうだという事も分かった訳だし
この調子で、普段通りの生活範囲でゆっくり検証してみよう」
A「はい…!」
夕凪「良かったですね、お嬢様!」
A「えぇ」
早く…早く取り戻さないと…
悟「…」
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P(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。この章内か、次の章では確実に落ち着きます! (2022年4月30日 10時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 五条悟と夢主ちゃんはいつ結ばれてますか? (2022年4月30日 0時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2022年4月4日 0時