検索窓
今日:16 hit、昨日:25 hit、合計:162,807 hit

7_Naib ページ10

「…馬鹿なの?」

目の前で項垂れる長身のハンターを、馬鹿にするような目つきで見下しているのは、機械技師のトレイシー。


「でも…。だって。」


さっきからずっとうわごとの様にでもだってと繰り返しているリッパーを見て、トレイシーは深くため息をついた。


「はぁ…。そんなことしてたら、逃亡者さんに嫌われるよ?」

そうトレイシーが言えば、リッパーは俯けていた顔をばっと勢い良く挙げて仮面の奥から覗く瞳を不安そうに揺らした。


「もう嫌われてるだろうけど。」

ぷぷーっと、吹き出すように自分の口に手を当ててリッパーの事を馬鹿にするトレイシーに、何かを思う余裕すらないのか項垂れたまま何度もため息をついていた。


「ねぇ、ナワーブくん。彼女は私の事を好いてくれていると思いますか?」

トレイシーに聞いても、皮肉しか返ってこないと学習したのか、リッパーは今度は俺に話しかけてきた。


「…知らねぇ。…まぁでも、逃亡者はリッパーの事嫌いなんじゃないか?」

無意識に口から出た言葉は、リッパーを傷つける言葉だったみたいでがくっと項垂れた。


「い、いや、でもリッパーがこの荘園に来た時から逃亡者のことを想っていたというのは知っていたから…!!」

慰めのつもりで、リッパーに声をかけても俯いたまま。


その様子を見たトレイシーは、リッパーを指さしてケラケラと笑っている。


「あー、リッパーさんかわいそー。」

目じりに浮かんできた涙を、拭いておかしそうにトレイシーはまた吹き出した。


「…そろそろゲームに行きましょう。…ナワーブくん覚悟しておいてくださいね。」

最後にリッパーがぽつりと呟いた言葉は聞いてなかった方向で。

8→←6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
389人がお気に入り
設定タグ:第五人格 , IdentityV , リッパー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁郗 - 18ページの下から2行目の中直り、仲直りになってますー! (2021年5月3日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
戌井そら(プロフ) - 46さん» ご指摘ありがとうございます!気づいてなかったです……。直してきます!! (2020年3月15日 17時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - 11の8行目のエマちゃんのセリフで中治りが仲直りになってますよ! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 5d23b6633a (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます!これからの更新に乞うご期待を…! (2019年11月6日 19時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 二人ってくっつくのかな… (2019年11月6日 16時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:煮汁 | 作者ホームページ:https://  
作成日時:2019年2月16日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。