検索窓
今日:11 hit、昨日:25 hit、合計:162,802 hit

41_Ripper ページ44

「んー、そうですね。…私の友人は、とても思慮深い人でした。とても賢く無鉄砲でもなかったです。あぁ、そういえば絵も描いてましたね。けれど、描いていた時は邪魔出来ないので少し寂しかったですが。」

そう幸せな思い出話に花を咲かせて話せば、それと反対にどんどん暗くなるAさんの表情。
それが面白くて、何も気づいていないフリをして友人(私の中の良い子)の話をした。


「あぁ、そうだ。私があの人に…。」


もやもやとした複雑な顔をした彼女に、それはそれは楽しそうに話そうと口を開けば袖をぐいっと引っ張られた。


「……さつ、じんきはその人の事好きなの?」

恥ずかしいやら怒っているやら色々な感情が混ざったような表情で、じっと上目がちに私の事を見てくる。



「……好きも何も、その人は男性ですよ?」

そう少し笑いながら言えば、掴んでいた袖をバッと離して真っ赤になった顔で見つめてきた。



「…っ。べ、別に知ってましたけど?! 何か?!」

キッと目を吊り上げて、汗をたらたら流しながら睨み付けられても怖くなかった。



「へぇ…?」

仮面があるから見えてるかどうかはわからないが、にっこりと笑って見せると彼女は更に顔を赤くした。



「…もっ、もういいです! 私は違う場所でご飯食べてくるので!」

バンと机を叩いて、いきなり立ち上がった彼女にホールに集まっていたほとんどの人の視線が集まる。



「………。」

背中にひしひしと感じる美智子さんの痛いくらい鋭い視線。


お手上げだというように手を上げれば、それにすら彼女はびくついた。


「…別に貴女を取って食おうだなんて思ってませんよ。そんなに私が嫌なら、他の場所で食べてきたらどうでしょうか。けれど、わざわざ貴女の為に重い料理を運んできたナワーブくんは、貴女のために選んだワインを飲まれずにいたイライくんは、一緒に食べるようにと私を呼んできたノートンくんは、怯えながら貴女のために私と一緒に居てくれるイソップくんはどう思うでしょうね。」


そう煽ったような口調で言えば、ぶつぶつと何か呟きながらまた椅子に座った。


「…座ればいいんしょ、座れば。」


はぁぁぁと長いため息をつくと、びしっと人差し指で私の事を指してきた。


「…ただし! ご飯が終わったらすぐにどっか行くからね! その時はそんな煽るような事言わないでよ!」


「人に指を指すのは行儀が悪いですよ。」


私をギリッと睨んでから、人差し指を下ろした。

42→←40



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
389人がお気に入り
設定タグ:第五人格 , IdentityV , リッパー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁郗 - 18ページの下から2行目の中直り、仲直りになってますー! (2021年5月3日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
戌井そら(プロフ) - 46さん» ご指摘ありがとうございます!気づいてなかったです……。直してきます!! (2020年3月15日 17時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - 11の8行目のエマちゃんのセリフで中治りが仲直りになってますよ! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 5d23b6633a (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます!これからの更新に乞うご期待を…! (2019年11月6日 19時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 二人ってくっつくのかな… (2019年11月6日 16時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:煮汁 | 作者ホームページ:https://  
作成日時:2019年2月16日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。