31_Naib ページ34
夕飯時、今日の試合はいつもよりもチェイスをしたためとてもお腹がすいていた。
コンコン、というノックの音が聞こえてきて咄嗟に食べていたケーキを後ろに隠した。
きっとイライ辺りだろう。
夕飯だと呼びに来てくれるのはいつもイライだった。
そして、夕飯前におやつを食べる俺を怒るのもいつもイライだった。
だから、扉をノックしたのもいつも通り昨日と同じ客人がやってきたと思って、特に警戒することもなく扉を開けた。
「…おわっ!?」
扉を開けた瞬間、何かが俺にもたれかかってくる感覚がした。
肩に載せられた重い何かは、もぞもぞと動いている。
「……どしたんだよ、リッパー。」
「……ナワーブくん。」
自分の二分の一程の大きさのやつに普通全体重かけてもたれかかってくるか…?!と、若干イラつきながらも肩にいるリッパーを押しのけた。
「…んで? 何があったんだよ。話くらいは聞いてやるから。」
「…ありがとうございます。……おや、こんなところにお茶菓子が。……私はここで待ってますね。」
俺の部屋のど真ん中に置かれたベッドに腰を掛けて、隠していたケーキを何食わぬ顔で取り出して、癪に障る笑顔で、俺に早く茶を入れてこないかとばかりの視線を送ってきた。
「へぇへぇ、ちょっと待っとけよ。くっそまずいの淹れてきてやるから。」
部屋の隅に置いてある備え付けのコンロでヤカンを火にかけた。
しばらくすると、泡がボコボコと出てきて沸騰してきた。
ティーポットにエマから貰った茶葉を入れて、その上からお湯を注いで少し蒸らした。
トットットッと小気味いい音を立てながら、紅茶は白いティーカップを茶色に染めていく。
「…ん。」
ソーサーもつけず、ティーカップ単体で渡せば心底嬉しそうにリッパーは受け取った。
「……貴方って、乱暴そうな割に紅茶を入れる才能だけはあるんですね。」
「…うっせぇ。リッパーから逃げる才能あるから。」
「……おや、そんなに言うんだったらすぐにでもタイマンでも張りましょうか?」
売り言葉に買い言葉、元々そんなに仲が良い訳ではない
今すぐにでも紅茶をぶっかけてチェイスを始めたい気分だったが、ぐっとこらえた。
「…あとでな。それで話ってなんだよ。」
どーせ、Aの事だろうけど。
小さなため息をバレないように吐いてから、自分の紅茶に口をつけた。
389人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁郗 - 18ページの下から2行目の中直り、仲直りになってますー! (2021年5月3日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
戌井そら(プロフ) - 46さん» ご指摘ありがとうございます!気づいてなかったです……。直してきます!! (2020年3月15日 17時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - 11の8行目のエマちゃんのセリフで中治りが仲直りになってますよ! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 5d23b6633a (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます!これからの更新に乞うご期待を…! (2019年11月6日 19時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 二人ってくっつくのかな… (2019年11月6日 16時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ