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(な、なに…!?)

生き物の本能的な恐怖を感じ、腰が抜けたようでドサりにとその場にへたりこんだ。


「…誰か居るのですか。そこに。」

殺人鬼は壁を殴るのを止め、こちらに視線をやるとおもむろに私の方に足を進めてきた。

恐怖で足が竦んで動けなくなってしまい、少しずつ近付いてくる殺人鬼を見上げることしかできなかった。

「…おや、ロボくんじゃないですか。」

殺人鬼は私を見ると、顎に手を当てて考えるような仕草になった。

「…ということはまだトレイシーさんが…? あぁさっきのことで落胆しすぎて端末を見れてませんでしたね。」

(さっきのこと...?)

殺人鬼が言った言葉が何度も反芻して、頭の中に出てくる。

そう不思議に考えていると、動きに出てしまったようで。


「…おや? ロボくんが小首をかしげていますね。珍しい、トレイシーさんにしては感情が出過ぎです。」


懐から端末を取りだそうしていた殺人鬼は、その手を止めて私の目の前にしゃがみこんで、唐突に私の頬に手を添えてきた。


(えっ!?)


「こんなにも感情が露になってるロボくんは初めて見ましたが、これはこれで可愛らしいですね。」

ガタガタッと音を立てて、後ろに下がってしまった。

殺人鬼はくつくつと喉を鳴らして笑うと、思い出したように頭に手をやった。


「あぁ、そうだ。」

どうかしたのかと首を傾げた瞬間。


体が切れる感覚がした。
痛みこそ感じなかったが、胴体は切られている。


「おやおや、驚いた様子ですが一応私はハンターですから。それに、いつまでもゲートに居座られると気分のいいものではありませんので。」


(あぁ、視界がぐらぐらして気分が悪いな…。)


また目を開ければ、そこは最初にナワーブと来たゲートだった。


「…そろそろ出なきゃ。」

立ち上がってから、何故か自分の頬が熱いことに気づいた。

手で触っても確かに熱い。
信じられないくらいの熱さだ。

「な、なんでこんなに…。」

考えて思い当たる事は1つだけ。


『可愛らしいですね。』

自分に言い聞かせるように何度も無いと呟いた。
けれど、さっきの出来事を思い出す度に頬の赤みは帯びるばかり。


「トレイシーさん早く…って、あれ。え?」

赤黒い霧の中から出てきたのは殺人鬼だった。


「う…あ、ぅ…。」


さっきの今で、唐突に出てきた殺人鬼に罵声を浴びせる事も出来ず声にならない音が口からもれ出すだけ。

顔を背けて勢い良くゲートから飛び出した。

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暁郗 - 18ページの下から2行目の中直り、仲直りになってますー! (2021年5月3日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
戌井そら(プロフ) - 46さん» ご指摘ありがとうございます!気づいてなかったです……。直してきます!! (2020年3月15日 17時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - 11の8行目のエマちゃんのセリフで中治りが仲直りになってますよ! (2020年3月14日 14時) (レス) id: 5d23b6633a (このIDを非表示/違反報告)
Lano.(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます!これからの更新に乞うご期待を…! (2019年11月6日 19時) (レス) id: 803ceaac19 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 二人ってくっつくのかな… (2019年11月6日 16時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:煮汁 | 作者ホームページ:https://  
作成日時:2019年2月16日 11時

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