避けても避けても避けないで！【Ｒｉｐｐｅｒ】

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「ありがと、エマ。エマのお蔭で結構ゲームのことがよくわかったよ。」

そういうと、エマは嬉しそうに笑った。


「よかったなの！ …あ、そういえばこの部屋の説明はしてなかったの。」

そういってからエマは一周くるっと回ってから部屋を指さした。


「ここは、対戦後チャットって言う部屋なの！ チャットなのに、部屋ってのはおかしいけど、ナイチンゲールさんが決めたからここはチャットで部屋なの！」

チャットで部屋というよくわからないことを、言いながら少しずつエマは説明してくれる。

「ほとんどの人はここに来たらすぐに、この部屋から出ていくけど、ここで試合のときの感想とかいう人も多いの！」

優しくしてもらったときには、ありがとうとか。
ミスしてしまったときには、ここで謝ったりとか…。

部屋の使い方を、頭に詰め込みながら聞いていると、部屋の外からドタドタという騒がしい音が聞こえた。


「……この音って。」

「わかんないの！」

あっけらかんとそう元気に言い放つエマ。

「けど、ここは一旦出たらもう一回入ってこれないし、同じゲームをした人しか入れないの！ だから、あの音の人はここに入ってこれないはずなの。」

外から荒い息遣いが聞こえてくる。
音の正体は、かなり急いでいたみたいだ。

すごい距離を全力で走ってきた時みたいな息の荒さ。


本当なら、もしかしたら危険かもしれない音の正体が去るまでここで、エマと二人で待ってるのが正解なんだろうけど…。

好奇心には、勝てない。


エマの驚く顔を横目に、部屋の厳重な扉のドアノブをねじって、部屋から出た。

「あっ…。」
「こんにちは、Aさん。」

部屋の前で待ち構えていた人を見て、私の脳裏にはある言葉が浮かんでいた。

＿＿＿好奇心は猫をも殺す。


こめかみに、冷たい汗がつーっと流れた。

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