死者一名の戦争 Ⅳ (ページ9)

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「おい、何してんだ！！」

走り寄っていけばAは微笑み、枯れた声で

「ひさﾞ、じ、ぶり……」

そう言った。

「お前…！！！」

「ごめ、んなﾞぁ、にぃﾞさん…もう、そろそろ…なんだ……」

そうAが笑いながら話す
から、俺は泣きそうになり顔を酷く歪めた。

「…そうか。」

なんで俺はもっとはやくAの異変に気づけなかったのだろうか。

なにか可笑しい、そう思ったときに何故すぐ行動しなかったのだろうか。

後悔が俺を包むなか、Aが震えた声で話始める。

「は、は……ほんとｯは…もっと、おそいよて、い、だったんだ……あえて、よかった」

「…俺も、良かったよ。Aに会えて。」

本当に、会えて、話せて良かった。
そう考えたらもう涙を止めることなど不可能で。

ダムが決壊したように素れた水滴はストールに染みを広げていて。

「ｯなんだ、よぉ……わらえよ、」

ぼやけた視界の中、Aの顔も酷く歪んでいた。

それを隠すように、指で頬を引っ張られAに無理矢理笑わせられる。

「笑えるかよ…ばか」