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「……兄さん、」
「何だ。」
「頼まれごとをしてくれないか…？」
「あぁ、いいぞ。」
「俺を、我々国に連れて行って、くれないか。」
最後の、お願いだ。
「…当たり前だろ。どこでだって連れてってやる、よ。」
「頼もしいな……」
そう言い、兄さんは俺を抱えて歩き出した。
「なぁ、A。」
「…なんだ」
「その剣、シャオロンを庇ったんだってな。」
「しゃお、ろん…？？あぁ、あの一般兵のことか……」
普段城に居ない兄さんが名前を知っている兵なんて…珍しい。
確かにあれだけのけがをしながらも味方を庇い、俊敏に動ける奴はそうそう居ない。
見ただけでわかる、オールラウンダーな兵士だった。
「一般兵？」
「あいつも、頭から出血してたからな……あそこで未来ある兵士が死ぬより…俺の方が、いいだろ」
「…そうか。なぁ、A。」
「なんだ…、？」
「次は、何をしたい？」
「……お前らが悲しまないなら…それで、いい……」
「最後くらい自分のこと考えろや…」
「ぁは…それは、無理かもなぁ……」
そんなたわいもない会話をしていると段々と、意識が薄れていくのを感じた。
あぁ、もうか。
どうか、あいつらに。
あいつらに、沢山の幸福が訪れるように。
そして、この国がいつまでも繁栄し続けるように。
全員が幸せに、笑って暮らせる国を創ってくれ。
「……にい、さん」
「ｯなんだ」
「ありがとな」
「…おやすみ、A。今まで…ありが、とう。」
俺は静かに、目を閉じた。
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作者名：朱雀 | 作成日時：2023年4月30日 23時
