角砂糖に愛を込めて【WT】【短編集】 (ページ4)

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誕生日【kn】ページ4

「もういい、勝手にしとけよ」

彼から言われた言葉がグサリと心に深く突き刺さる。こんなことになるはずじゃなかったのに。私はただ⋯⋯、

『きんとき、大丈夫？最近隈すごいよ？』

「あーちょっと編集が立て込んでるだけ。気にしないで」

『でも、しっかり寝ないと体に悪いよ？それに、』

「今から寝るよね？待たなくていいから先寝といて、俺編集しないといけないから」

『ちが、今日くらいは一緒に寝たいなって⋯』

そう、今日くらいはきんときとゆっくり過ごしたかったのに、。編集が立て込んでいるらしいけれど、流石に1日中部屋に籠りっきりなのは心配する。今日だってご飯を一緒に食べてないから、きんときがちゃんとご飯を食べてるのかすら分からない。

「だから無理だって言ってんじゃん。俺忙しいんだけど」

『そういう事じゃないの！』

「もういい、勝手にしとけよ」

きんときは溜息をついてからいつもより低い声でそう言う。そしてその言葉が私の胸にグサリと深く突き刺さる。
私が悪かったのかな⋯確かにきんときのプライベートに突っ込み過ぎたのかもしれない。

その場の空気に耐えられなくて泣いてしまいそうになった私はスマホだけを手に取って、行く当てもなく玄関を飛び出した。

どうしよう⋯。家からは随分と離れた公園に来た。
ここからネカフェまではまだまだ遠い。さっきのきんときの言葉がずっと頭の中でぐるぐる回って涙が止まらない。

「ちょ、え、A？どうしたの？」

聞き覚えのある声で顔を上げる。でも視界がぼやけて上手く見えなくって。目を擦るとそこには金髪頭で眼鏡をかけた、同級生がいた。

『きりやん、』

kr「いや、どした？大丈夫？」

『やんのお家行かせて』

kr「え、まぁいいけどさ」

高校の時から仲良しのきりやん。実際に会ったのは何気に久しぶりだけど、いつも動画で見ていたからそれほど距離は感じなかった。
もちろん私がきんときと付き合ってることも知っているし、なんならメンバー全員知ってるはずだ。

きりやんは私のペースに合わせて隣を歩いてくれる。ちゃんと前を見れず、躓きそうになる度にきりやんくんが助けてくれた。こういうところがきりやんは気を使える。