傷《エイトフットのジョー》 ページ8
「ちょっとちょっと、ジョー大丈夫?
そんなに羊皮紙抱えたら前見えなくてすっ転けるよ?」
羊皮紙の筒や沢山の書類を抱えて明らかに前が見えないジョーにジャックが注意する。
「あ゛?あー…、平気だろ。転けても死ぬわけじゃあるまいし」
「……ふぅん、ま、気を付けるんだよー!」
なにやらニヤニヤと笑みを浮かべはジャックは走り去っていったが、その顔を見てないジョーは気にせず長い廊下を歩く。
フロントへ向かう階段を下ろうとジョーが足を出した瞬間、
「うぉっ!?」
案の定足を滑らせ、前に倒れる。
「えっ?わっ、ちょっと!」
どさり、と鈍い音を立てジョーは階段の踊り場に倒れ込む。
明らかに自分の声ではない悲鳴が聴こえた気がしたジョーは顔を上げ、状況を確認する。
どうやら転けた際にグランを巻き込んで下敷きにしてしまったらしい。
「うぅっ、いたい……。
ちょっとエイトフット。なんて事、するの。」
「いてて、あー、悪ぃな。前見てなかった。」
「おでこがずきずきする、おでこにヒビが入ったかも……ってヒビが入ってたらどうしよう、マスターに見捨てられちゃう。」
「は?お前何言って」
何を考えているのか、えらく傷がないか心配しているらしいグランは取り憑かれたように不安を零し続ける。
「どうしよう、怖くて鏡見れない。
何言ってるのはこっちだよ、陶器なんだよ、あれだけ強くぶつけたら割れちゃう…」
「お前、今人間の姿じゃん」
「あ……」
「人間はぶつけたぐれぇじゃ割れたりしねーだろ?」
ジョーはグランの手を取り本人のおでこへ持っていく。
そろり、と自分のおでこを指でなぞる。
「ほんと、だ……」
ひどく安心したようでグランはほっと、息を吐く。
「……にんげんって、凄いね」
「けっ、そらぁ俺への当てつけかぁ?どこかいいかよ、あんなもん。」
「でも魔法が解けた時に陶器の方に傷があったら許さないから。ブツ切りにして小麦粉の海に沈めて焼き上げてやる。」
「それ、暗にたこ焼きじゃねぇか!どこで覚えて来やがったんだそんなもん!!!」
「ひみつ」
はぁっ、と頭を掻きながらため息をついたジョーはグランを見やって怪しげに笑う。
「でもまぁ、そんときゃ俺がてめぇを預かってやるよ。」
「いやよ、ジョーが、マスターなんて。」
踊り場に二人の笑い声が響く。
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れいれいだぅ〜 - フェロー様イケメンなの凄いわかります!フェロー様の出てくる話ももっと見たいです!更新頑張ってください!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: ed2d22e147 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 白狼ラトさん» 初めまして!リクエストありがとうございます!返信が遅くなってしまい、大変申し訳ありません!それでもはV様との甘いストーリーの制作をさせて頂きます! (2018年3月9日 19時) (レス) id: a1682b21b7 (このIDを非表示/違反報告)
白狼ラト(プロフ) - 初めまして!早速ですがリクエストでMrVで甘いお話をお願い致します!夢主はマスターヴィランズです! (2018年2月19日 21時) (レス) id: cd54c7533b (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - みゆきさん» コメント、リクエストありがとうございます!私も手下ロスで小説を書いているので同じ方がいると嬉しいです笑 エイトフットの甘い小説ですね、時間が掛かってしまうかも知れませんが頑張りますね! (2017年12月29日 14時) (レス) id: a1682b21b7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - リクエストでエイトフットとグランちゃんの甘めストーリーをお願いします!ハロウィンが終わっても手下が頭からはなれません!なので手下の小説を読むとハロウィンをおもいだせて嬉しいです!これからも更新頑張ってください! (2017年12月29日 10時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2017年11月16日 20時