KAITO短編集 (ページ46)

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そしてカイトはヤンデレに挑戦しようとする(ヤンデレ要素ほぼ0)　６ページ46

「で、だ」
「はい」
「いい加減この格好に言及しろよ！」
「あ、口にしてはいけないのかと」
「スルーされたら悲しいことこの上ないんだよ馬鹿野郎！」

　じゃあ、どうしてそんな格好をしているのか聞こうとしたら、マスターは頬を少し赤らめて上着の前を閉めてしまった。やっぱり、聞かないほうがいいんでしょうか。そう思った僕はもう一つ別の、気になったことを問う。

「マスター、あの、みんなは……」
「あぁ、あいつらならみんな出かけた」

　誕生日、だというのに、僕を置いてみんな出かけてしまったというのか。なんだか、あんまりな気がする。まぁ、僕のキャラ的に仕方ないのか、バレンタインだからそれぞれリア充しやがるのか。

　肩を落とし、嘆息した僕をマスターが見上げた。

「あの……私が祝うんじゃ、ダメ、だったか？」
「え？」

　僕を見上げるマスターはいつの間にか、上着とマフラーを脱いで畳んでいた。
　さっき一瞬見た、白いミニワンピに赤いリボンがあしらわれた格好で立っている。
……天使ですか？

「だからこの格好はラッピングだよ気付けよバカイト! ふざけんなアホ！」
「ごご、ごめんなさい！ ……あの、それは、誕生日プレゼントに僕はマスターをもらっていいってことで……」
「どうやらそういうことらしいな」
「え？」
「だってめーちゃんがこうでもしないと進展しないんじゃないとか何とか訳わからんこと言うから……」
「とりあえず僕、安心しました」
「は？」

　まぁ、きっとそういうことなんでしょうね。
　マスターは、世間で言う「ツンデレ」さん、と言いますか。
　別に僕は、必要ないとか要らないとか、そういうわけじゃないんだなって。
　突然クロゼットというのは驚きましたけど、マスターが一生懸命祝おうとしてくれたんだなって。
　それは、ちゃんと通じてますよ。マスター。

　にしても、普段扱い酷すぎますけどね!?