透明な影 【KAITO】 分岐1

・Ｂ-Phase30 ページ4

「おかしいって…何が、ですか？」

「好きになっちゃって、カイトのこと、家族としてとかじゃなくて、一人の男の人として、好きになって、でも、おかしいのかなって。一応私は人間で、カイトはアンドロイドだし。それに、カイトはずっと家族として、私のそばにいてくれたから。こんなこと思ったら、思っていることを表に出したら、カイトを困らせて、傷つけて、関係が壊れちゃうんじゃ、今まで通り一緒にいられないんじゃないか、そう思ってた。好きだったから、大好きだったから、誰よりも大切だったから…だから、言えなかった。」

彼女はずっとずっと、誰よりも僕を見てくれていた…？

「だから、本当はずっと、カイトのことが大好きだったの。……私、おかしくない、んだよね？好きでいて、いいんだよね？」

「おかしいわけ、ないじゃないですか。何もおかしくないですよ。僕も、僕だって、あなたのことが、マスターとしてでなく一人の人間として、大好きなんですから…。」

「うん…ねぇ、カイト。ひとつ、約束してくれる？」
「何でしょうか？」

「私は、誰よりもカイトのことを見てるから。誰よりもカイトのことが大好きだから。ずっとずっと、カイトと一緒にいる。カイトのそばにいる。だから、もう、不安に思うことはないから、私の友達に危害を加えるのは、もうやめて？」

彼女が、そこまで言うのなら。
僕を、本当に愛してくれているのなら。

僕は、彼女を信じよう。

「わかりました。マスターも、約束、ですよ？」
「うん、約束。」

僕を埋め尽くそうとしていた重く深い、黒は、ゆっくりと身を潜めて、消えていった。

「それと、カイト。」
「マスター？」
「大好き。」

ーendー

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