5.意外な発見と漏れる秘密 ページ5
.
「すみませんきこえませんでしたもういちどいってもらえますでしょうか」
「ハッハッハ、棒読みじゃぞ？」
おじいさんは、コーヒーカップをテーブルに起き、私の目を見つめた。
「もう一度聞こう。何故空から落ちてきたんだい？」
二人のあいだに沈黙が訪れる。
「言えないような秘密が、あるのかい？」
「・・・・・・わからないんです。」
「わからない？」
「何故自分がここに居るかも、そしてここがどこなのか分からないんです。」
「ほう・・・・・。」
おじいさんは顎に手を当て、考え込むような様子を見せた。
「ここはどこですか？」
「ここは、エリニキ・ジモクラティア。通称エラス。」
「・・・すみません。分かりません。」
「じゃあ、ここに来る前、つまり空から落ちる前はどこにいたんだい？」
「自分の家のベッドの中です。
寝ていたら急に風が吹き始めて、目を開けて、自分が落ちていることがわかりました。」
「国は？」
「日本です。」
するとおじいさんは一瞬、驚いた顔をした。
「ニホン？ジャパンのことかい？」
「はあ。そうですね。英語で言うとそう言いますね。
ということはここは日本じゃないんですか？」
「そうだよ。」
「で、でも話しているのは日本語ですよ。」
「ジャパンの言葉は世界共通の言語なんだ。ほとんどの国の人々がジャパン語を使っている。
まぁ、なぜ、小さな島国の言葉が世界の共通語となったのかは未だ解明されていないがな。」
「う、嘘だ・・・・。共通語は英語の筈です.....！」
「エイゴ？すまんが知らないよ。」
声を荒げる私の様子に、本当に検討がついていなさそうな顔をして老人は首をかしげる。
その様子にハッとして思わず謝罪の言葉が漏れた。
「・・・すみません、取り乱してしまって・・・。」
「いいや、いいんだ。当たり前のことだよ。」
「あの、外の空気を吸ってもいいですか？ちょっと落ち着きたくって。」
「どうぞ。」
ガタっと音を立てながら席を立ち、窓を開いた。
東から朝日が差し込み、一瞬視界が真っ白になる。
数秒の瞠目の後、ゆっくりと目を開く。
そこで私は見つけてしまった。
天空にそびえ立つ巨大な塔の姿を。
「あの！あれってなんですか！？」
「ああ、あれね。天空闘技場だよ。」
ガツンと殴られたような衝撃が走る。一瞬息ができないぐらいに。
私はその時悟ってしまったのだ。自分の身に何が起こったのか。
そして自分があの世界に来てしまったことも。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リュイ - 飛行する女子高生が部分好きですw面白かった！ (2021年10月19日 17時) (
レス) @page24 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - あのー弱火でじっくり飽きるまでじゃなかったでしょうか (2020年10月17日 9時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 題名に爆笑しました (2017年6月5日 23時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - えーでりひさん» ありがとうございます！！！実際作者はとうらぶ未プレイなんですけどね・・・審神者をしんしんしゃって読んでましたし（；￣ェ￣）更新頑張ります( ^ω^ ) (2015年8月13日 11時) (レス) id: 8267781c3e (このIDを非表示/違反報告)
えーでりひ - とてもおもしろく読ませていただきました!!江雪ネタが出てきてビックリしましたwこれからも頑張ってください!! (2015年7月25日 18時) (レス) id: ce3d448fad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2014年4月2日 19時
