捌。あたし、泣いてないですっ！！ ページ9
もぐもぐと焼き芋を頬張るAは本当に幸せそうで、左文字兄弟は皆さん微笑ましそうにそれを眺めていました。
小夜は無性にAの頭が撫でたくなり、恐る恐るAの頭に手を伸ばし、できる限り優しく一撫でしてみました。
さらりとした黒髪が絹のように心地よく、またAもなんだか気持ち良さそうに目を細めるので、もう一撫で、もう一撫でと撫で続けてしまいます。
「兄さん、僕今度主にカメラを御願いしようと思うんだけど？」
「奇遇ですね、私も今写真機が必要だと思ったところです。一期一振が持っていた筈ですから、暫く借りられるよう願い出に行きましょう。」
「藤四郎アルバム、いつ見ても凄いよね。そのためにパソコンの使い方を覚えたって言ってたし…僕もやってみようかな…」
『弟達の表情ひとつひとつが次にいつ見られるか判らぬ、一瞬の輝き。正に一期一会というものですな。』
藤四郎アルバム片手に力説していた一期一振の言葉を思い出した二人は、今ならその気持ちが痛い程に理解できると染み染み思いました。
「いたーーーーー！！！！」
「！？あああ！あたしの、焼き芋……」
背後から突然掛けられた大声に驚いたA。その拍子に最後の一口分を地面に落っことしてしまいました。
「鶴のじっちゃーーーん！！あの子見つけたぜ！！ってどうしたんだ！？」
大切に大切に食べていた焼き芋を落としてきまったAはあまりに悲しく、でも食べ物の事だからと必死に泣くのを堪えています。
大声を出した犯人の獅子王はなぜAが瞳一杯に涙を溜めているのか分からずただただ慌てるばかりです。
「小夜ちゃんとせっかく頑張って掘った芋なのに…大事に食べてたのに…ふっくっ…」
「えっ？あ……」
「獅子王の声に驚いて焼き芋落としちゃったんだよ…」
小夜はよしよしとAの頭を撫でながらお前の所為だと言わんがばかりに獅子王を見ています。幼い子を自分が泣かせた、物凄い罪悪感が獅子王を襲います。
「だあああ！兄ちゃんが悪かったよ！そんなに悲しそうな顔すんなって！！」
「な、泣いてないわっ！！ぐしゅっ…そんな子供じゃっ…ないもっ…ひっく…」
ぐずぐすと鼻をすすりながら子供じゃないと必死に涙を拭います。
そんな中、獅子王に呼ばれ鶴丸がやってきました。
「久しぶりだなAって、こりゃまた驚きの連続だな、あのAが泣いているなんてな。」
「だからあたし、泣いてないですからっ！！ぅわぁぁん！！」
玖。あたし、平安生まれなんですけどっ！？→←漆。あたし、焼き芋は初めてなんですっ！！
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
