第十三幕。彼女と急転直下。 ページ46
三日月はそっとAの手に触れ、跪くと再び涙を流して項垂れました。
「三日月、あたしは、人形じゃない。刀だけど心があって、今は体があって……今のあたしはあたしらしく在りたいの……」
Aの言葉は、三日月に届いたのでしょうか？
「それで、出入りの自由化なのですけれど……」
遥香はとある書類を三日月の膝の上にいるAに渡しました。
「これは？」
「これが理由ですの、他言無用ですわ。」
表紙には『歴史修正主義者一斉摘発計画書』と記されていてAはペラペラと目を滑らせ、途中で表情を凍りつかせました。
容疑者のリスト、その主犯格にAの主の名が書かれていました。
「嘘、ですよね……？」
「いいえ、残念ながら。Aちゃんも知っているのではなくて？あの本丸に沢山の敵が集まっていたことを。」
Aははっとしてあの時斬られた肩を押さえました。
「Aちゃん、貴女は重要参考人として扱われることになっているの……ごめんなさい、貴女の研究というのは、半分は嘘になってしまいますわね……」
辛いでしょうけど、と遥香はAの頭を撫でて眉を下げました。
「貴女の主様の情報端末からも歴史修正主義者同士のコミュニティーとやり取りしていたという履歴も検出されているの。」
「……なるほど、でもあたしにはまだ……」
「信じられないのも分かりますわ。」
だって、と遥香がテーブルの上に肘をついて手を組みました。
「彼はスケープゴートですもの。」
遥香の言葉に危険を感じたAでしたががっちりと三日月にホールドされ、全く身動きを封じられることとなってしまい舌打ちしました。
「高塚管理官！どういうことですか？！三日月離して！！」
「すまんなA、主の命でな。それは出来んのだ。」
ようやく捕まえた、恍惚と嗤う三日月にAはぞくりと粟肌を立たせなんとか逃げ出そうと足掻きます。
「高塚管理官、悪ふざけが過ぎます！！三日月に放すよう言って下さい！！」
刀剣男士にとって、主である審神者は背くことの出来ぬもの。Aは必死に叫びました。
その様にくすりと妖しく遥香は微笑みAを真っ直ぐ見つめました。
「無理よ、その彼の主は私ではないもの。」
Aが振り向き三日月を見ると三日月はにこにこして頷きました。
「彼の主を今から紹介しますわ……どうぞお入りになって？」
扉から現れたのは男。
「藤原、様？」
どこか元主に似た男がそこにいました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
