第十一幕。彼女と彼女の心境の変化。 ページ44
江雪が部屋を出るとすぐに三日月はAを風呂場へ連れると全身隈なく何か無いか確かめ、洗い清めると緋色の浴衣へと着替えさせて部屋に香を焚き込めました。
そして、
「A、江雪と何をしていた？何故江雪の匂いがついている。」
Aの両腕をベッドに縛り付け、三日月は身動きが取れぬようAに馬乗りになり首に手を掛けました。
「あたしが、外に出たいって……泣いたから、頭を撫でてくれたの。」
「確かに、衣が濡れていた。」
「……それだけよ。」
「ふむ、時にA、用意していた菓子には口を付けたか？」
「江雪さんに勧められたの。食べちゃ、ダメだった？」
「いいや、それなら今回江雪は不問だ。」
唐突な質問でしたが、Aが答えると三日月の唇がニヤリと歪みました。
首に掛かっている手にはまだ力は入れられておらず、少し息苦しいだけでした。Aは真っ直ぐに三日月を見て、もっと三日月の機嫌が良くなる何かを必死で考えています。
ーーコノヒトニステラレタクナイ。
ーーアナタニハコノヒトダケ。
ーーアナタハミカヅキヲアイシテル。
女の声、苦しく無い筈なのにグラリと意識が一瞬揺らぎました。
「A、聞くが俺を愛しているな？」
「……愛してる。」
ーーホラ、ヤッパリアイシテル。
違う！あたしが好きなのは、
ーーコッチノミカヅキムネチカヨ。
頭の声が煩い。
「ふむ、まだ足りぬ、か……まぁいい、変わりゆくものを愛でるのもまた一興。」
魘されているかのようにかぶりを振るAを見下ろし満足そうに三日月は嗤います。
ーーコノヒトニアイサレテウレシイデショウ？
ーーミカヅキムネチカヲアイシテル
ーーミカヅキムネチカヲアイシテル
ーーミカヅキムネチカヲアイシテル
ーーミカヅキムネチカミカヅキムネチカミカヅキムネチカミカヅキムネチカミカヅキムネチカミカヅキムネチカ
「ぅ、るさぁあぉああいっっ！！！！」
ぶちり
Aは自分の腕が傷付くことも厭わず力の限り腕を振り、自分の腕を縛っていたものを引き千切りました。
縄で裂けた傷から血飛沫が飛び散り、三日月の顔に降りかかりました。
唖然とした三日月の隙を突いて跳ね飛ばし厠へ駆け込むと喉の奥に指を突っ込んでAは胃が空になるまで無我夢中で焼け付く喉を押しとうとう血を吐きました。
「貴様ら、あたしに何をしようとしている？」
Aの眼は真っ直ぐに《敵》を睨みつけていました。
第十ニ幕。彼女が与える影響。→←第十幕。彼女と扉の向こう側。
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
