第七幕。彼女の不運。 ページ40
あの少し後、遥香の使いだと言う使用人に三日月と共にAは研究室へと連れて行かれました。
そこでAは白い検査着に着替えさせられ、身長や体重、腕力や動体視力、持久力などの様々な身体測定を受けました。
「まあ！大変！！」
検査も終盤に差し掛かろうとしていたところで遥香が一つの機械の前で悲鳴を上げました。
端末の前で試行錯誤しているようですが、やがてがっくりと肩を落とすとAに申し訳なさそうに少し席を外すといって何処かに通信を繋げました。
「……システムの問題かもわからない状態で……ええ…ええ、……一週間、ですか？……わかりました……そちらの検査も前倒しで？……では後ほどまた……。」
はぁ、と柳眉を下げて遥香は申し訳なさそうにAを見ました。
「Aちゃん、実は貴女の刀を分析していたアナライザーが不調で壊れてしまって……他所で分析しなければいけないことになってしまいましたの。」
「他所で、ですか？」
「ええ、刀剣の研究をメインでされているところなのですけれどね……そこで一週間ほど時間が掛かるそうなの……申し訳ありませんけれど、そちらにあなたの刀だけを送ることになりそうですわ。」
つまり一週間、本体は目の届かぬ所へ送られ付喪神のあたしは丸腰で過ごす。流石にこの申し出にはAの顔も青褪めました。
「なんとかなりませんか……？」
「ごめんなさいね、刀剣の研究は歴史修正主義の問題が始まってからは規制が厳しくて……私自身も立ち入りの許可が下りるのに一週間以上掛かるからAちゃんの場合は許可が下りない可能性もあり得るんですの。」
一応上とも掛け合ってみるからと遥香は再び研究室内の通信端末で小一時間ほど連絡を取ったようですが、結果は芳しくないようでAに深々と頭を下げました。
自分の目の届かぬ場所に本体が送られるというのはかなり不安ですが一生懸命交渉してくれた遥香に泥を塗るようなことはしたくなかったので渋々Aは了承しました。
「大丈夫だ、何かあっても必ず俺が守るさ。」
三日月が安心させるようにAの頭を撫でますが、一番安心できないのはあんただよとAは内心ツッコミました。
結局、着ていた服も分析にかける必要があったらしく、Aは身包み全てを研究所に送ることになってしまいました。
機械さえ壊れなければ……Aは自分の不運さに大きな溜息を吐きました。
第八幕。彼女と夫婦刀のように。→←第六幕。彼女と狂気の片鱗。
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
