第四幕。彼女と二度目の再会。 ページ37
見送りは要らないと伝えたはずなのに沢山の仲間が押し掛けギュウギュウ詰めになっている玄関先、遥香の隣で主である審神者へ背筋を伸ばしAは敬礼しました。
「それでは、少々行って参ります。」
いつも穏やかな笑みを湛えている三日月が不安そうな表情を見せていることに気付かないふりをして……。
完全に管理されている現代の交通網に渋滞などある筈もなく遥香の車は目的地に到着しました。
「すごい……鹿鳴館みたい……」
車を止めるとすぐに使用人と思わしき人々が現れ、遥香とAの荷物を運び出して左右に並び深々と頭を下げました。
「おかえりなさいませ大奥様。そしてようこそA様、使用人一同お待ち申し上げておりました。」
頭を下げた内の一人、初老の男が代表者のようにAに再度頭を下げます。
「いえ、刀如きに頭を下げられるなど！顔を上げられてください！」
「いいえ、貴女様は当家の大切なお客様ですから当然のことです。」
「そうよAちゃん、貴女は私の、いいえ、私達の大切なお客様ですもの。気にする必要はないんですのよ？」
でも、と納得していない様子のAを遥香は本丸の中へ半ば押し込む形で先に進ませました。
本丸内はAのところとは違い、明治時代の華族の邸宅を模したような見事な調度品が多く置かれ、その豪華絢爛さにAは思わず息を飲みました。
「A！」
エントランスホールの上階から見知った、洋館に不似合いな青い狩衣を纏った男が駆け寄ってきました。
「あら三日月、貴方はこっちにも呼ばれてたのね。久しぶり。」
「今日という日をどれ程待ち侘びたことか…！！」
そんな大袈裟な、と笑おうとしたAですが膝まで付いて強く抱きしめてきた三日月の双肩が震えていることに気付き何も言わず三日月の柔らかな髪を撫でました。
「三日月は貴女があの本丸へ顕現したと聞いてからは毎日貴女のことばかり……。」
「そ、そう……。」
あちらの本丸と全く違う三日月の態度に戸惑うAに気付くことなく三日月はAを抱き上げ存在を確かめるように、愛おしそうに頬を撫で続けます。その様子に半ば狂気的なものを感じ始めるのは時間の問題でしょう。
「部屋は主に頼んで同じにして貰った。」
「ごめんなさい、三日月がどうしてもと……」
「そう、なんですね……構いません。」
本音を言えば身の危険を感じるAですが少しの辛抱と口を噤みました。
第五幕。彼女ともう一人の三日月宗近。→←第三幕。彼女と演練。
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
