第二幕。彼女と美人管理官。 ページ35
天気は快晴。
絶好の演練日和と言っても過言ではありません。
朝食から一刻ほど過ぎたあたり、淑女を絵に描いたようなお淑やかな女性が本丸の門を叩いた。
柔らかな眼差しは母性を感じさせ、ゆったりと歩く姿はとても優雅で完成された母親像といった印象の彼女が件の管理官、高塚遥香でした。
彼女はAの主と十五分ほど話した後、長谷部に連れられAの部屋へと通されました。
「ここが椿切Aの部屋です。A、ご挨拶を。」
「ようこそおいでくださいました、高塚管理官。私めが平安時代の名も無き刀匠の太刀、椿切Aと申します。」
三つ指をついて頭を下げるAにいつもの印象との違いに長谷部はすこし面食らったものの態度には出さず、高塚管理官の荷物を置き退出を願い出た。
「Aちゃん、そんなに畏まらないで？ありがとう長谷部さん。」
艶やかな微笑みに長谷部は一礼して退出した。
Aは予め用意しておいた茶と羊羹を管理官と自分の前に出し、座卓に座り直した。
「管理官殿は我が主の上に立たれる方ですので、失礼があっては私めが叱られます故。」
「あら、そんなこと……普段通りでいいのよ？折角貴女みたいな可愛らしいお嬢さんとお知り合いになれたんですもの、仲良くして下さらない？」
「管理官殿がそう仰るのであれば……」
「管理官なんて堅苦しいわ、遥香か……そうね、お母様と呼んでくださってもいいのよ？私には息子しかいなくて、貴女のような可愛らしいお嬢さんが娘だったらっていつも思っていたの。だからAちゃんに会えるこのお仕事は是非私にと局長に直接掛け合ってしまいましたわ。」
倍率高かったんですもの、とイタズラっぽくウィンクする管理官、結局遥香さんと呼ぶことで妥協してもらい、漸くAはこれからの説明を受ける事ができました。
Aの能力を数値化すること、女性型付喪神の身体構造調査、歴史資料の整合性など、割と時間が掛かるものが多いので今回は研究設備のある遥香の本丸でAを預かる事になったそうです。
「荷物については全てこちらで用意しますから、着の身着のままで来てくださいな。お洋服も貴女のために沢山用意していますのよ。」
「……あ、ありがとうございます。」
「うふふ、必要なものや好きな食べ物があればいくらでも言ってくださいな。いつでもどんなものでも用意しますわよ？」
美人の笑みには凄味があるというが、頬を撫でられたAはその言葉の真意を遥香に見たのでした。
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
