次章の前。彼女と最近の夢見事情。前 ページ32
最近Aの様子がおかしい。
畑仕事中、気がつくと無表情で空を見上げこちらが声を掛けても気付かないことが増えている、どうしたのかと聞いても笑ってなんでもない、心配ないとはぐらかされてしまう。
三日月がそう江雪から相談をされたのは日が昇るか昇らないか、朝の散歩に出掛ける前のことでした。
朝食後、何時ものように畑に行く左文字兄弟についていこうとしたAですが今朝は留守番を言い渡され、じゃあ食器洗いか何か手伝おうとすると粟田口兄弟全員から今日はAはお休みと全力で止められ、馬当番も今剣と岩融に止められ暇を持て余すことになってしまいました。
仕方ない、長谷部の所に行って何か仕事を貰おうと下を向いて考えているとふいに足が地面から離れ、慌てて顔を上げると真正面に三日月の顔がありました。
「A、今日は一日俺に付き合ってもらおうか。」
「……三日月、あんたの仕業？」
「いいや、俺だけではないさ。」
Aのジト目にも三日月は笑うだけでした。
三日月がAを連れてきたのは三日月の部屋の前の縁側でした。
Aを抱いたままよいしょっと腰を下ろし、膝の上にAを向かい合わせになるよう載せて抱きしめました。
「ちょっと！この体勢はいくらなんでも恥ずかしいって！！」
「ここはあまり人も通らぬし、何よりこうせんと逃げそうでな……率直に言おう。A、お前さん最近おかしいぞ？」
江雪達もみな心配していた。その一言になんとか逃げ出そうともがいていたAがビクリと肩を跳ねさせ止まりました。
「……あはは……そっか、そうよね……」
あーあー、あたしのばぁか、左手で顔半分を覆いぐしゃりと前髪を乱しました。
「最近、毎晩あの夢を見るのよ……始めは、偶に続けて見ることもあるからって、そう思ってた……なのにっ！この一週間、ずっと、ずっと、昼も夜も、眠ろうとすればあの夢がまるで焼き付いているかのように…！」
その声は震え、三日月にしがみつく右手までも震えていました。
かつてのAの主、椿狩りと称して一つの村にいる人間全てを試し斬りした藤原在道。
「……それにね、いつもは同じ所で終わるはずの夢なのに、最後に藤原様みたいだけど藤原様じゃない、若い男の声がするの……」
おいで椿切。
椿切、椿切、そこにいるのだろう。
ちゃんとそこに来てくれたのだろう？
可愛い私の椿切、今、迎えに行くからね。
さあ、掴まえたよ椿切■■A。
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
