春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。中 ページ25
江雪と宗三が前を進み、その後ろを小夜とAがちょこちょことついて歩きます。
偶に山菜やきのこを見つけたり、可愛らしい花を見つけたりとあっちこっちに忙しく動き回るAに小夜は嫌な顔一つせず、むしろ少し楽しそうに付いて回っていました。
「小夜ちゃん小夜ちゃん、この花なに？」
Aが小さな青い花を指差して小夜に尋ねました。
「それは露草って言う花だよ。本当は夏から秋にかけて咲くんだ。」
「この花、小夜ちゃんの色に似てるわねぇ。」
「確かに、小夜の色によく似てるね。」
でしょ！と宗三の言葉にふんすとAが胸を張りました。
「綺麗な青よね、日が昇る前の空の色にも似てるわ。あたし、この青好きよ。」
にっこりと満面の笑みで言い切るAに小夜はみるみる顔が赤くなってしまい、慌てて顔を背けました。ですが江雪からはバッチリ見えていたらしくパシャリとシャッターの切られる音が聞こえました。
「Aは小夜のことが本当に好きですね。」
「うん！あたし、この本丸の仲間はみんな好きだけど左文字の兄さんたちと小夜はまた別の特別って感じかなぁ？なんか、しっくりくるっていうか……宗三兄さんも江雪兄さんも穏やかで、三日月とも違った意味で落ち着くし、小夜は親友というか、双子の片割れっていうか……うーん、そんな感じ？藤四郎の兄ちゃん達とはまた違った安心感があるっていうのかな？」
うーんと頭を捻るAに江雪は少しだけ口元を緩めさらりと頭を撫でました。
「私達も、Aと向き合っている時は各々の影を忘れ穏やかに過ごせていますよ？」
「そう、なのかな？」
Aがくるりと宗三と小夜の顔を窺うと宗三は穏やかに微笑み、小夜は少しだけ恥ずかしそうに俯きました。
「Aが畑に遊びにくるのが僕達の楽しみになっているからね。」
「僕も……Aちゃんと一緒にいるのは、嫌じゃない。」
「うぅ〜っ！ありがとうっ！！あたしっ！嬉しいっっ！！」
がばっとAは二人に抱きつき頭をぐりぐりと擦り付けました。
「私も仲間に入れてもらえますか？」
そっと抱き上げてきた江雪にもAは抱きつき、またぐりぐりと頭を擦り付けました。
温かい時間が過ぎて行きました。
畑を出発して半刻程が過ぎました。
「さあ、着きましたよ。」
「うわぁ…大きな桜の木……！」
開けた丘に大きな大きな桜が一本、青空一杯に沢山の花を咲かせていました。
春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。後→←春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。前
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
