春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。前 ページ24
あまり季節感のない本丸では審神者が持ってきているカレンダーが暦を教える大切なものになっています。
日捲りが告げる日付は3月31日、立春が過ぎて暫く経ち現の世では今頃桜は満開でしょう。
今日の畑仕事は細かな作業が得意な小夜と宗三が苗作りと植え付けを、重い太刀を軽々と振るうAと江雪が土作りと畝作りをやる事になっていました。収穫は前日に終わらせてしまっているので今日はのんびりと作業して、作業が終われば小夜とAは林や小川で遊んで夕食前には帰る、そんな一日になりそうでした。
今日が特別な日に変わったのは作業が終わった頃でした。
「作業終〜わりっと！江雪兄さん、まだ終わってないところある？」
「いいえ、此方も丁度終わりました。小夜と宗三は……終わっているようですね……」
二人が道具を納屋に片付け、手を洗おうと井戸に向かっているのがこちらから見えました。
Aは畝をひょいひょい跳び越え江雪の側に立ち、ハイ！と手を差し出しました。
「兄さんの分の鍬、あたしが片付けるから！」
「お願いします。今日は昼餉の前に、少し出掛けますよ。無論、Aも。」
「お出掛け？あたしも？そっか、じゃあ急いで準備するわ。」
江雪から鍬を受け取ったAは再び畝を軽々と越えて納屋へ駆けていきました。
それを目を細めながら見送った江雪はゆっくりと畝と畝の間を歩き、井戸へと向かうのでした。
井戸で顔や手足に付いた泥を落として東屋へ行くと、すでに三人とも支度を終わらせてAを待っていました。
宗三の背中には行きには無かったはずの荷物が背負われていて、Aは小首を傾げました。
「宗三兄さんその荷物なに？」
「秘密、後で分かるよ。」
「うーん……ま、いっか。それでお出掛けってどこに行くの？」
「それも着いてのお楽しみ。」
「む。それはそれは……小夜ちゃんは知ってる？」
「僕も知らないよ。」
「あー、その顔は知ってる顔ね！あたしだけ仲間外れ〜？」
「ち、違うよ！今日は」
「A、あまり小夜をからかってはいけませんよ。さあ、行きますよ。」
「はーい！ごめんなさーい！小夜ちゃん行こ！」
むっと口をへの字に曲げる小夜ですがAの手をしっかり握って歩き出しました、対するAは全然気にする様子も無くぶんぶんと小夜と繋いだ手を大きく振って楽しそうに歩き始めました。
春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。中→←拾漆の裏、弐拾の前。安定と加州の間にて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
