拾漆の裏、弐拾の前。安定と加州の間にて。 ページ23
早朝に安定との相部屋に戻った加州は安定を叩き起こして羽織を見せ、今朝方の出来事を話しました。
「で、Aちゃんには結局謝れずにすごすご帰ってきたわけ？」
「そーだけど？」
「そうだけどってお前……はぁ、意外と女々しいよな、加州って。」
「俺は安定と違って繊細なんですー。ていうか〜、女々しいのはお互い様だろ？」
「あー……それに関しては否定できないけどさ……」
沖田くんのこと、まだ忘れられないし。と安定はまだまだ寝癖の残る頭を掻きました。加州はそんな安定の様子には目もくれず、羽織に視線を戻しました。
「……傷、やっぱり小さくなんかないよな……」
安定は加州が先程から手許で眺めている肩の部分が切れた赤い羽織を見ました。
「Aちゃん、小さいからね。僕らにとって小さな傷でもあの子の体には、そうだね。」
愛おしそうに加州は羽織の傷をひと撫でしました。
「そんな傷を負っても……俺たちを守ってくれた。」
「うん、あの子は全然退かなかったね。」
迷いなく大太刀から自分達を庇い、傷を負っても一歩も退かなかった。
「大切そうに笑って、俺たちの無事を喜んでくれた。」
「そうだね。眠っても僕達を手離さないように抱きしめてくれてた。……あの時、Aちゃんは僕達を確かに愛してくれてたよ。」
「それに、俺の事を綺麗だって……あの子なら、きっと俺を愛してくれるって……そう思っちゃうんだよね〜。」
同じ刀剣に愛を乞うのは可笑しな話かもしれないけれどと加州は自嘲しました。
「結局、加州もAちゃんに堕とされちゃった訳だ。」
「何？悪いの？そりゃあ俺だって沖田のこと忘れた訳じゃ……」
「違う違う、そういう意味じゃなくて。」
僕もとっくの昔にAちゃんに堕とされちゃってたってこと。
そう言う安定の顔は加州が も久しく見る、曇りのない、笑顔でした。
春の幕内の壱。花見と左文字兄弟と。前→←弐拾。あたし、愛ってよくわからないんですけどっ！？
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
