拾漆。あたし、もう妹でいいやって思うんです……。 ページ19
「おはようさん、ってやっぱり夜に熱出したか……」
寝汗でぐっしょり寝間着が濡れているAに薬研は申し訳無さそうな顔をしました。
Aの体は小さいのであまり強い薬は使えないのです。
「ん〜、兄ちゃんのせいじゃないから大丈夫よ。」
「はいはい、大丈夫じゃないから無理しない。熱は……そこまで高くねぇか、衛生的な心配もあるし、とりあえず包帯を換えて着替えだな。」
熱を測るために額に当てていた手を退けて薬研は包帯と塗り薬を道具箱から取りました。
傷口を見られたら昨日と状態が違うことがバレてしまいます。
「流石に恥ずかしいって！肩だったらあたし、自分でできるわ！！」
わたわたと慌てるAに、そうか、女の子だもんな。と薬研は納得しました。
「でも、結んだりとかは一人じゃできないだろ？恥ずかしいかも知れねぇけど、ちゃんとしなかったら膿んで酷いことになるし……五虎退ならまだ抵抗も少ねぇかもな。」
薬研がおーい五虎退、と襖の向こう側に呼びかけると、はーいという返事とトタトタと軽い足音が聞こえてきました。
「なに？薬研兄さん。」
やってきたのは昨日、白虎を連れていた気の弱そうな白い男の子、五虎退でした。
「悪ぃが嬢ちゃんの包帯を換えてやってくれねぇか？俺っちじゃあ恥ずかしいみたいでよ。」
「ぼ、僕が？は、初めまして…五虎退って、言いましゅっ！……うぅ…噛んじゃった……お兄さんらしくしようと思ったのに……」
がっくりと肩を落とす五虎退に元気出せよと虎達が擦り寄ります。
「あたしは、椿切A。…えぇっと…私のお兄さんになりたかったの…？」
「僕、い、いっつも頼りなくて…でも、Aちゃんは、僕より小さいから……僕がお兄さんになろうと思って……でもやっぱり…僕、頼りないから……うぅ……」
「そ、そんなことないぜ、なぁ？」
「そうそう、あたし、ここに来たばかりだから、五虎退兄ちゃんに案内してもらえたら嬉しいなぁ！！」
「ほ、ほんと！？」
涙まで流し始めた五虎退にAと薬研はこくこくと首を縦に振りました。
「あたま、撫でていいの、かな？」
ちらちらと恥ずかしそうにAを見る五虎退に、Aの方が大人として対応することにしました。
「あたし、五虎退兄ちゃんにあたま撫でてほしいな〜。」
「じゃあ！ちょっとだけ…」
恐る恐る手を伸ばす五虎退に撫でやすい様にAは頭を下げました。
「うわぁ…つやつやだぁ！」
…喜んでくれるのならもう妹でいいや…
拾捌。あたし、光忠が何者か気になるんですけどっ！？→←拾陸。あたし、夢見は良くないです……(残酷描写有)
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
