拾弐。あたし、なんだか安心するんですっ！！ ページ13
あたりは夕暮れに包まれ始めていましたが、三日月はAが目を覚ますまで、じっとそばについていました。
穏やかに眠るAの腕の中には見慣れる刀が二振収まっています。
本当はAの腕から刀をどけようとすると、絶対に離さないと言わんがばかりに強く握りしめるので振り解こうにも左肩の傷に障ることが分かっている三日月は仕方がないと諦めるのでした。
少しするとAが身動ぎし、ぱちぱちと数度瞬きしてAは隣に座る三日月を見上げました。
「ん〜…あれ？三日月？」
「目が覚めたか。よく寝ていたので起こさんかったんだ。」
大事ないか？と労う三日月にAはぐるりと左肩を回したり、腕を上げ下げしてみたりと肩の調子を確認してみます。
「骨は大丈夫みたい、痛みはあるから、裂傷にはなってるかしら？見えないからイマイチ分かんないのよね……」
「俺が見てやろうか？」
「自分じゃわからないから悪いけど、よろしく。」
何の躊躇いも無くべったりと血の付いた白い肩を無防備に晒け出すAに三日月は不思議そうに首を傾げました。
「審神者に胸を触られた時は平手打ち、獅子王に袴を捲られた時は真剣必殺。なのに俺がAの肌を見ても怒らないのか？」
「時代の流れってやつよ。今時はビキニなんて、あたし達の時代には考えられなかったものが沢山あるし、自分から脱いだりするならまだしも、突然のことばっかりだったから吃驚したのもあるわね。まあ、それに…」
「それに？」
「三日月だったら何となく安心するのよ！」
それは信頼されていると取るべきか、男として見られていないと取るべきか……？
無邪気に笑うAに、三日月は嬉しいような少し歯痒いような曖昧な笑顔を返すのでした。
晒された傷口は３寸足らずで小さなAの体には大きいように思えました。
「……痛々しいな。」
「なぁに、これ位じゃ手負いの内にも入らないわ！って言いたいところだけど、少し左手に力が入れ難いのよね……ま、どうせ明日には元通りだろうから、さっさと屋敷に帰りましょう。」
「！？っと……」
勢いよく立ち上がったものの、フラリと体勢を崩したAを慌てて三日月が抱き留めます。
「あれ？ごめん、なんかフラフラしちゃって…」
「良い良い、血が足りぬのだろう。」
ひょいと三日月はAを姫抱きにし、Aを覗き込みました。
三日月の腕の暖かさにAはまたうとうとと舟を漕ぎ始めます。
「やっぱり、三日月が横にいると、落ち着く……」
拾参。あたし、クソガキらしいです……。→←拾壱。あたし、実戦刀ですからっ！！
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菱神 昂(プロフ) - 特にリクエストはいただかなかったので、祭り会場は小ネタ置き場に改造いたします。 (2015年5月1日 20時) (
レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - 御礼祭リクエスト受付は本日21時からです。リクエストは必ずお知らせを熟読された上でお願いします。ある意味キーワードの代わりとなりますのでよろしくお願いいたします。著者。 (2015年4月30日 14時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
菱神 昂(プロフ) - (3k猫*´∀`*){よきかな〜♪さん» コメントありがとうございます！この章から漸く本線が始まるなという感じです。今から更に盛り上がる筈ですのでこれからも椿切と本作をよろしくお願い致します！ (2015年4月9日 23時) (レス) id: 4fb92bb402 (このIDを非表示/違反報告)
(3k猫*´∀`*){よきかな〜♪ - お〜！だんだん話が盛り上がってきましたね！更新頑張ってください！ (2015年4月9日 19時) (レス) id: fdc932d927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菱神 昂 | 作成日時：2015年3月6日 23時
